『届かない真実』 完結

□10.苦痛
1ページ/5ページ



―――――金曜日。



リョーマは跡部達が来ることを知らないまま、その日を迎えた。

明日、明後日は土・日で、コーチも含め先生方の出張で部活はない。



だからこそ、暴力はいつもよりひどかった。



泣かず呻かずのリョーマに、部員は気味悪さを感じていた。

痛いはずなのに、苦しいはずなのに、なぜ何も言わないのか。



だからか、部員たちはリョーマを泣かせようと、もっとひどい暴力をふるう。

ただ、暴力がひどくなるだけで、何も変わらない。


そして………





「なぁ、一度こいつ犯してみねぇ?」

「何を……」

「女顔だし、案外いけんじゃね?」


不穏な会話に、リョーマはうっすらと目を開けた。



そして、身をこわばらせた。

恐怖で、身体が動かない。



再生される記憶。思い出す恐怖。



テニスではありえないくらいの力を出すリョーマだが、日常ではそこまで力はなかった。

大の男相手に、抵抗できる力はないのだ。


「たまには違う方法もいいだろ。いい声、聞かせろよ」


男はそういって、リョーマを組み引いた。


「あ……ヤダ……」


恐怖の余り、震える身体。

抵抗しようとがむしゃらに暴れるが、周りの男たちに動きを封じられてしまう。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ