NARUTO短編集1

□落とし物
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シカ視点

里を歩いていたら前にナルトがいた。
ほとんど気配を消しているのか、周りは誰もナルトに気付かない。

ポロッ

「ん?」
地面に落ちたものに駆け寄ってみると、それは短剣だった。
きっと、裏で使っている武器(えもの)だろう。


「ナルトの奴、落としたのか。」


すぐにナルトを呼ぼうと、顔を上げたのだが、すでにどこにも見あたらない。
「どこ行った?あいつ。」
俺は短剣を仕舞うと、ナルトを追いかけるために走り出した。

しかし、気配を薄くしているあいつを見つけるのは、骨が折れる。










数十分後、やっと見つけた。いつもよりは、見つける時間は早いだろう。
裏路地に微かだが、ナルトの気配が微かにだが感じるのだ。

「ナルト。」

俺が、誰もいないことを確認して降り立つと、ナルトが俺に気付いたのか、振り向いた。

「これ。里内で落とすなよ。」
仕舞っていた短剣を取り出しながら言うと、ナルトは驚いたような顔で、俺の手元に目を移した。

「お前のだろ?」
短剣を差し出しながら聞く。

「くっくっく………。違うぞ?」
ナルトがニヤっと笑ったかと思うと、いきなり笑い出した。

「え?ちがうって…………。おいっ!!」
呆然としていると、ナルトが消えた。


「嘘だろ………?」


俺の手から、短剣が滑り落ちた。
カランカランと音を立てて、短剣が地面に叩き付けられる。

ようやく、ナルトに遊ばれていたことに気付いた。
しかし、気付いたとしても遅い。
ナルトは最後に満足そうな笑みを浮かべていた。


「っ、くっそ─────っ!!」


俺の叫びはむなしく、誰のか分からない短剣だけが残されていた。






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