NARUTO短編集1

□サンタさん?
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────12月。


里内でも、クリスマスムードに突入しており、真っ赤な衣装に包まれる人が多くなってきた。

『クリスマスって何だってば?』
「ナルト、クリスマスを知らないの!?」
『知らないってばよ。』
「フン。」

ナルトの急な発言に、サクラは盛大に驚いた。サスケは、バカにしたように鼻で笑ったが、なぜか顔がニヤけている。

「クリスマスはね、夜にサンタさんが来て、プレゼントをくれるっていう……まあ、現実にはありえないおとぎ話よ。子供のためのね。」
『ふ〜〜ん。』

サクラの説明に、ナルトは瞳をキラキラと輝かせた。ナルトにとって、クリスマスは始めて聞く言葉だったのだ。

「今までクリスマスってやったことないの?24日は、クリスマス・イブで、パーティーとかすると思うんだけど?」
『クリスマスねえ……。(確か、12月は任務ばっかだったよな?)』

12月には、任務が大量に舞い込んでくるのだ。なんでも、今年中に終わらせてしまおうと考える人間が増えるとか。
暗部にとっては、休日がなくなる月。任務月なのだ。
特に、木の葉一番の最強かつ、総隊長のナルトに、休みなど一日もなくなる(いつものことだけど)。
そのため、クリスマスなど、やったことがない。

「12月24日、クリスマスパーティーやるんだけど、ナルトも来る?」
『クリスマスパーティー!?(てか、24日って、毎年任務じゃん)』
「下忍任務も今年もないみたいだし。」
『そうなんだってば?(そりゃ、俺が出れねえからな。てことは、今年も任務日か……)』

ナルトのほんの少しの変化にも気付かず、サクラは話を進める。

「なんでかしらね?まあ、休みだからいいけど。」
『クリスマスパーティーって何するんだってば?』

ナルトは可愛らしく首を傾げながら聞いた。
その姿に悶絶する男が2人。サスケと………存在すら忘れ去られているカカシだ。

「(くっそー、可愛いぜ!ウスラトンカチ!!)」
「(ナルト、かわいすぎダヨ!)」
「カカシ先生も、サスケ君も、ナルトはあげないからね?」

「「サクラ!!」」
心の声がダダ漏れな二人に、先に釘を打っておくサクラ。横ではナルトが訳が分からないという顔で、首を傾げている。


勝者サクラ?


ナルトは、何の感情も浮かべず、3人の言い合いを見ていた。それに気付く者はいない。
バッと、サクラが振り向いた時には、ナルトの顔にはいつもの笑顔が戻っていた。否、張り付いていた。

「あのね、みんなで集まって、ごちそうを食べるの。その後、みんなでプレゼント交換するのよ。」
『プレゼント交換?』
「そ。サンタなんていないから、自分たちで1人ずつプレゼントを持ち寄って、部屋を暗 くして回すの。まあ、闇鍋のプレゼントバージョンね。」
『へ〜〜。楽しそうだってばね。(闇鍋ってなんだ?)』

1つ分かれば、また1つ分からなくるナルト。
それには気付かず、サクラはニコニコ笑っている。ナルトが来ると言うのを待ってるようだ。

後ろでも、カカシやサスケが、期待の眼差しでナルトを見つめている。
ナルトは、そんな3人の視線を受けて、考え込んだ。

『(無理だろうな。下忍任務までないなら特に……)ごめん、その日は無理だってばよ。』

ナルトは視線を落とし、いかにも残念そうに見せながら断った。
下忍任務がなくなるということは、一日中暗部の任務付けになるということだ。
クリスマスパーティーなんて、行ってる暇などないだろう。


「そう……。」


それを聞いたサスケとカカシは、返事もできないほど盛大に落ち込み、サクラは悲しそうに返事をするだけだった。
『また、今度誘ってくれってばよ!』
ナルトが明るくいうと、分かったと、3人の返事が返ってきた。
その日は、そのまま別れた。

ナルトは、直ぐさま火影の元に急ぎ、任務をもらう。
ナルトに舞い込む任務が、今年も多すぎたためだ。ほんの少しの時間も無駄にはできない。





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