NARUTO短編集1
□蒼き狐
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カキーン……カキーン……
刃と刃が触れあう金属音が森に響いていた。
「くっそ、一体何者だっ!?」
姿なき相手に恐怖を募らせる霧の抜け忍。すでに仲間は殺られ、自分1人が残っているだけなのだ。
『終わりだ。』
若めの声が聞こえたかと思うと、意識がブラックアウトした。
何が起こったのかすら分からないまま、二度と目を覚ますことはなかった。
『ふ〜、疲れた。任務完了。計20件だ。』
若い声の持ち主は、そう言うと周りに蒼い炎を放った。その炎は、死体だけを燃やした。なぜか、木などは一切燃えていない。
炎によって周りが照らされ、その中心にいたのは、狐の面を被り、黒装束を纏った15歳ぐらいの男。
同じ蒼い髪に、面から見える紅い眼。
そして、唯一見える手首などの肌は白く、男にしては、細かった。
男は周りにあった死体がすべて燃え尽きたのを確認すると、姿を消した。
その場には、血の後も、争った後もなく、不自然なのだが、自然な光景が広がるばかり。
男の気配は、一切残されていなかった。
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