NARUTO短編集1

□いつもの日常
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ナルトは、里を歩いていた。
普段通り、オレンジの服を身に纏い、堂々と歩いている。


ナルトは、里を歩いていた。
真っ黒な衣装を身に纏い、足音一つ立てず、存在すら感じさせないように歩いている。


昼は明るく、夜は静寂に。

昼と夜。全く正反対の性格。

それが、ナルトの日常。

そして、今日もドベを演じていた───────。



『サークラちゃ〜ん!』
「あら、ナルト。どうしたの。」
『特に何もないってばよ。ただ、サクラちゃんが見えたから(表のナルトとして)来たんだってばよっ!』

ボンッ

「ナルトー。忍が簡単に後ろ盗られちゃダメでショ。」

『うわっ!?カカシ先生!?(盗らせてやったんだよ。てか、遅すぎだろ?それに、気配ダダ漏れ。これが、本当に上忍か?
 しかも、あの写輪眼のはたけカカシか?この里も危ういな)』

ナルトは、驚いた顔を見せながら、内心、ため息をついていた。
何も知らない人。何も知ろうとしない人。
すでに、ナルトは全ての人に諦めていた。

「おっ!ナルトじゃねーか。」
『?(この気配……)シカマルっ!』

ナルトはシカマルに気付くと、顔をほころばせた。
唯一、ナルトの本当の笑顔を見れる者………………の1人。

「今日、家に来ねぇーか?親父達が連れてこいって、うるせーんだ。」
『シカマルん家?行く行く!!ヨシノさんの料理、うまいんだよなぁ〜。』

サクラ達そっちのけで話す、ナルトとシカマル。

「んじゃあなっ!」
『おう!』

ようやく話し終えたようだ。
シカマルが帰っていく。

『(さて………)じゃあ、俺も帰るってばよっ!じゃあね!サクラちゃん。』

ナルトは不自然にならない程度にサクラだけに声を掛けると、シカマルとは反対の方に走り去った。
後ろでカカシが、俺にはないの〜?といっているが、ムシ。





『「ごちそうさまでしたー!」』

『ぷはぁっ!おいしかったってばよっ!』
「ナルちゃん、来てくれてありがとうね。」

ヨシノが人数分のお茶を持って現れた。

『おいしかったってばよっ!ヨシノさん、ありがとう!』
「まあっ!ヨシノさんなんて、他人行儀な。ヨシノママでいいわよ。」
『うぇっあ……えーっと………ヨシノママ……?///』

キャ──────!!

ヨシノがキャアキャア叫びながら、ナルトを力一杯抱きしめた。
男連中はそれを疲れたように眺めているだけ。誰1人(2人しかいないけど)助けようとしない。

2人とも、ヨシノが怖いのだ。特に、ヨシノが喜んでるところに、水を差すのは、後が怖い。

ピィ──────

ナルトを助けるかのように聞こえた音。
ナルトは、誰にも見られないように眉を顰めた。

「なんだ?」
「鳥?」

シカクとシカマルが、訝しげに窓の外を見ている。
しかし、そこには暗闇があるだけで、何も見つからない。

『(こんな時間に何のようだよ。てか、今日は、シカのとこ行くって連絡しておいただろーが。
 しかも、任務もないから、ゆっくりしてこいって、言ったのは、じいちゃんだろ)』

ナルトは心の中で三代目に愚痴りながら、小さくため息をついた。

影を行かせるか、自分で行くか──────。

ナルトは、おもむろに立ち上がった。
まだ引き留めようとするヨシノとシカクに、また来るからと言って、なんとか見逃してもらう。

『じゃあ、お邪魔しましたってば。』
「気にしないで。その代わり、絶対にまた来てね。」
『ありがとう、ヨシノママ///』
「気ぃつけて帰れよ?」
『シカクのおっちゃんも、サンキューだってばよ!』

ナルトは、シカマル家族に分かれを告げると、帰路についた。
そして、そのまま火影の所に向かう。





『なんだよ、じじぃ。今日は任務なかったんじゃねぇーのかよ。』
「ブハッ。急に現れるなっ!心臓が縮む!」
『火影なら、気配ぐらい読めよ。』

盛大に吹き出した三代目に、ナルトはあきれ顔だ。

『それで?』
「うむ。特Sランクじゃ。2件ほど急に入ってのぅ。」

そう言って、三代目は2つの巻物を取り出した。それを受け取るナルト。

『………………。』

ナルトは、何も言わずそれらに目を通した。

ボンッ

「すまんのう…………。」

ナルトは、蒼髪紅眼の青年─────蒼緋になった。もちろん衣装は黒一色。
つまり、それらの任務を引き受けるということ…………。

『…………行って来る。』
「気をつけてのぅ。」
『誰に言ってる?』

ヒラリ

ナルトは、そう言って狐の面をつけると、窓から身を投げ出した。

「窓は出口じゃなーい!」
『気にするな。』

そう言い残すと、ナルトは闇に紛れた。
こうして、いつもの日常となっていく─────。






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