テニス短編
□君の為に出来る事
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あれから1週間。
越前リョーマは越前リョーマとしての記憶をほとんど取り戻さずに部活に復帰した。
テニスに関しては以前のリョーマと何ら変わりなかったため、病院からも許可もらってるから復帰してもいいだろうという話になったのだ。
「じゃあ、俺が記憶喪失になったのって、その引かれそうになってた子供を助けて、頭を強く打ったから?」
「そういうことになるね」
「ふうーん、そうなんだ」
「リョーマ君、記憶喪失になっても相変わらずなんだね」
「反応が薄すぎるよ……」
「普通も、もっとこう……なんかねーのか?」
「「「まぁ、リョーマ君/越前だからね……」」」
1年トリオも最初は驚いたものの、特に変わった様子もないリョーマにあっという間になれたようだ。
「でも、試合はどうするんだ?」
「リョーマ君、出れるの?」
「その点は大丈夫みたいだよ。不二先輩と手塚部長が離してるの聞いたけど、普通にオーダーに入れてるらしいよ」
「試合あるの?」
「あ、リョーマ君!試合って言っても、練習試合だけどね」
「王者立海と、氷帝、それかうちの3校でレギュラーの合同合宿するんだ」
「へぇー。それ、俺も出れるんだ?」
「うん。リョーマ君は女の子だけど、男子テニス部に所属してるし、試合も許可されてるから出場できるんだ!」
……とカツオが説明するも、当の本人はほとんど聞いていなかった。
テニスの試合(練習試合だが)に出れるということしか重要じゃないのだろう。
出れるんだ?というのも、出ても大丈夫なのか……という問いかけなんてものではなく、ただ単に出れるという確認だったらしい。
やっぱり越前リョーマは記憶を失くそうがどこまでも越前リョーマだ。
「集合!」
――ザッ
「明日からレギュラー陣は立海・氷帝と合同合宿を行う!それ以外の者は各自決められたトレーニングを行うこと!以上!」
「「「「あざーした!!」」」」
「越前、明日の合同合宿、出れるか?」
「えっと……部長?だっけ。出れるけど」
「じゃあ、明日の7時に学校に来てくれ。バスで移動する。……遅刻はするなよ?」
「……努力シマス……」
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