テニス短編
□Hospital Lover 後編
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アメリカに旅立つ日、国光が空港まで来てくれた。
最後まで待ってると言って抱きしめてくれた温もりは手術中の支えだった。
――そしてあれから2年。
手術は無事大成功したものの、身体への負担は大きく、半年ほどはほとんど動けない状態だった。
それから必死にリハビリして、また以前のようなテニスができるまで回復させるのに、1年半という長い時間を要した。
アメリカにも彼らの噂は届いている。
テニスが上手く、ルックスもいい彼等だ。
マスコミが放っておくわけがなかった。
「おい、リョーカ!行くのはいいが、早めに戻って来いよ!」
「うるさい!分かってるよ」
父親−南次郎−の言葉を左から右へと聞き流して、私は走る。
2年という時間は思った以上に長く、国光と出逢ったころは肩より少し下までしかなかった髪は、腰に届きそうなぐらいまで伸びている。
これじゃあ、昔のようにショートカットにすることはできない。
「あ……国光っ!!」
懐かしい面々も見つけたが、それよりも国光を見つけるほうが早かった。
「リョー……カ?」
「ただいま、国光!」
「ああ、おかえり」
周りなんて全然気にせず、ただ国光に抱き着く。
やっと帰ってきたのだと思った。
後から聞いたことだけど、跡部さんが私……というより、越前リョーマは越前リョーカという名で女だということを話したらしい。
高校のメンバーはほとんど変わっておらず、中学の全国大会を高校でもう一度できるんじゃないかと言われているほどだ。
国光との関係もバレてて、少し恥ずかしかったのは内緒だ。
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