テニス短編
□Hospital Lover 後編
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「リョーカ?」
「国光……別れてほしい」
「え?」
余り突っ込まれたくなくて、ストレートに告げれば、理解できなかったのか唖然とした顔で国光が固まっていた。
「アメリカに行くことになったの。日本じゃ、手術はできないんだって」
「……日本には戻ってくるのだろう?ならそれまで待ってる」
「っ、私はっ……。……手術は成功率も低くて……もし成功しても日本に戻ってこれるかもわからない。それに……」
私はずっと国光を騙してた……
「リョーカ………「私はっ、国光に想ってもらえる資格なんてないっ」……」
国光の言葉を聞きたくなくて遮った。
待ってるって言ってくれたこと、すごく嬉しかった。
でも、戻ってこれるかも……生きれるかもわからない。
それなのに、それまで待っていろなんて言えない。
「私は……私は……」
「リョーカ」
私は越前リョーマなのだと告げようとした。
しかし、それより早く国光が私を抱きしめた。
「国……光……?」
「知っていたんだ」
「え?」
「お前の正体が誰であろうと、俺はお前が好きだ」
「っ」
絶句。
彼は何と言った?
「な、んで……」
「まぁ、仕草とか表情とか……。2か月もかかったけどな」
「どうして……」
「言っただろう?俺はお前が誰であろうと好きだと」
頭はパニックを起こしていて、考えられない。
国光が優しく背中を撫でてくれた。
「リョーカ、俺はずっと待ってる。だから……何年かかってもいい。必ず戻って来い」
「っ……うん……うんっ……」
涙が止まらなかった。
ふと、国光に手を取られて何かを握らされたのが分かった。
恐る恐る目の前にもってきて広げると、ネックレス用チェーンに通された、"To R.E"と掘られた指輪があった。
「これ……」
「約束だ。約束の証に……持っていてくれるか?」
そう言って国光は自分の首にかかった指輪を見えた。
そちらには"To K.T"と掘られている。
「っ、国光!」
嬉しくてうれしくて……けど苦しくて……
まだ私たちは中学生で、これから高校に行って大学に行って……出会いは無限にあるはずなのに……
「えっ隊……絶対手術成功させて国光のもとにDもおるから!」
「ああ、ずっと待ってる」
―――また一緒にテニスをしよう、……越前……
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