テニス短編
□Hospital Lover 後編
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――そして、日曜日。
アメリカでの手術の話を細かく決め、検診を終えたリョーカは国光を待つために中庭に出た。
珍しく今日は誰もテニスをしていないのか、コートが開いている。
「テニス……したかったな……」
コートに立って、相手コートを見つめる。
立つ相手は国光。
「今度こそ……勝ちたかったのに……」
昨日学校にはアメリカに戻ると言って休学t解けを出してきた。
半年で日本に戻ってこれなかったら休学は退学届けに変わる。
もちろん、部活にはアメリカに戻るからという理由で退部届を出した。
なかなか受け取ってもらえず、部長・副部長だけでなく同級生にまで止められたが、日本に来れるかわからないから、と無理やり押し付けた。
どっちにしろ、ここ最近病院通いで早退したり、休んだりしてたからこれ以上迷惑はかけられない。
「はぁー……」
「リョーカ、どうかしたのか?」
物思いに耽りすぎて、国光が来たことに気づかなかった。
少し驚いてびっくりしてしまった。
「国光……」
別れ話をされるとは微塵も思ってないであろう彼に、罪悪感が芽生える。
「少し、話があるの」
人目につかないよう、国光を連れて緑生地に入った。
まさか、告白されたところで別れ話とは……皮肉なものだ。
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