テニス短編
□Hospital Lover 後編
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「跡部さん、私、アメリカに行くことになりました」
「……は?」
突然、アメリカに行くと言われた跡部はポカンとしてしまった。
何の脈絡もなく言われればそうなっても仕方ないだろう。
「どうやら、日本では望みは0だそうで……アメリカなら、可能性があると言われました」
「なんで……敬語なんだ?あーん?」
「いえ、なんとなく……」
そう言ってクスクス笑うリョーカに、跡部は何も言えなかった。
アメリカに行くということは、日本の医者に見放されたということだ。
つまり、このまま日本に残ればリョーカは生きることはできないということ……。
「……手塚はどうすんだ?」
「正直に言うつもり。……ついでに別れてくる……かな。待っててとも言えないし」
アメリカでも成功率は30%だという。
むしろ、生きて帰ってこれる保証もないし、たとえ生きれたとしても、日本に帰ってこれるかもわからないのだ。
「ちょうど潮時でしょ。……ずっと黙ってたツケがここで一気に回ってきただけと思えば……」
「リョーカ」
それ以上言うなとでもいうように目だけで止められてしまった。
――全く我儘ですねー
本人が聞けば、お前にだけは言われたくないと言われそうだが……。
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