『Lost and Rescue〜囚われた心〜』 完結

□第1部 脅かされる心5
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   * *



1年の間のでそんな取り決めがなされてる頃、桃城と海堂もリョーマの行動に疑問を持っていた。


2人がリョーマに構いに行くのはたいていリョーマが一人の時。

まるで自分から一人になろうとしているリョーマに、2人は一人にはさせないとばかりに構うのだ。

自分の同級生や先輩たちを信じてないわけじゃない。

だが、彼らがリョーマをあまり快く思ってないだろうことは明白だった。


できるだけ一人にさせないようにするのだが、放課後にマックに誘ってもNoばかりで
Yesと帰ってきたのは最初の一度(しかもほとんど無理やり連れていった)だけだ。

流石に気づかないわけがない。








「越前の奴、どうかしたのか?」

「ああ?」

「な〜んかこう……キョリっつーか、壁を感じるんだよなぁ〜」

「能天気なお前でも気づいたか……」

「だれが能天気だ!!ケンカ売ってんのか!?」

「……今はそんな話じゃないだろ」



珍しく海堂が喧嘩を買わずに話を修正させた。



「部活終了後も1年から聞いたけど、一人でいようとしてるらしいな」

「……もう少し様子を見るしかないだろう」



最悪、部長に聞いてみりゃいーだろう。



海堂は部長を……手塚を巻き込もうと考えていた。

あの人がリョーマの様子に気づいていないとは思えないし、もしかしたら何かを知っているかもしれない。


結局出た結論は"様子見"だったが、2人は少し晴れやかな笑顔で教室へと戻った。






























   * *




―――放課後





「越前!ストレッチやろーぜ」

「走るぞ、越前」

「えーちーぜーん!サーブ練習の相手しろよ〜!」

「越前、テニスの相手しろ」


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桃城と海堂はこれでもか!?というぐらいにリョーマに構っていた。

リョーマもテニス練習内容に一貫のため、無下に拒否できない。

休憩中は休憩中で両脇に2人が経って、あれは好きか、どこか行きたいとこあるか……と質問攻め。


リョーマは半分以上無視を決め込んでいたが、時間が経つにつれて目に見えるように顔色が悪くなっていった。

1年たちが心配そうにちらちら見ているが、それすら気づけない。

頭の中でも桃城と海堂の声が何度も何度もリピートされ、目の前がグルグルしている。





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