テニス短編

□電車
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「(や……だ……っ!誰かっ!!)」




声を出せず、その行為に耐える。


うごめく手は、何も言わないと分かったのか、調子に乗り出した。

背後にあった手が、前に動いてくる。


そこでようやく、真後ろにいる人物の手だと分かった。




「(早く駅につけっ)」



リョーマの目には、薄っすらと水の膜が張り出した。

段々と大胆になっていく手に、リョーマは声も出なかった。



ただ、早くこの時が終わることを願うばかり。











「(ひっ!?)」




徐々に上ってくる手。

リョーマは、身体と扉に挟まれながらも上を目指してくるそれをよけることはできない。





「ヘヘヘ……、君、女の子だったんだね」


「っ!!」




うごめく手は、リョーマの胸を鷲掴みにした。

青学の先輩たちが知るリョーマなら、胸は平のはずだった。

しかし、男に捕まれた胸は、ふっくらと膨らみを持っている。


男の言う通り、リョーマの本当の性別は女。


その事実を知っている者はほんの一握り。

青学の先輩たちは誰も知らない。

部活中もさらしをまいて平らにしているのだから……。





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