テニス短編

□電車
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   * *



電車に乗ってどれくらい経っただろう。

急行のため、次に止まるのはずいぶん先―――30分後―――になる。

それまでこの状態が続くのだ。



―――否、先ほどより苦しかった。



最後に止まった駅で、たくさんの人が乗ってきたのだ。

身動きを取るのも大変なぐらい、人でいっぱいだった。







「っ……?」


背中のところで、何かが動いた。

動けないから、確かめようがない。







―――さわっ






「っ!?」







お尻に何かがふれた。

それは、意思をもってうごめく。





「(うそ……痴漢?)」





逃げたくも、扉に押し付けられている状況だ。

逃げられるわけがない。





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