『君が笑顔でいるために』 完結
□9.Encouragement
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「越前!負けんなよ!」
「オチビ〜!頑張れ〜!」
「「「リョーマ君/越前、がんばって!」」」
青学の声援を聞きながら、リョーマはコートに立った。
こんな声援……アメリカではなかった。
日本で初めて……知った。
「(心があったかい……)」
リョーマは無言でパワーリストを4Kg減らした。
つけている両手、両足にそれぞれ4Kgのパワーリスト。
負ける気はないが、負けるわけにはいかない。
リョーマは相手を見た。
確かにレギュラーともあって、強かった。
下剋上だ!!という日吉に対して、リョーマは……
「俺はもっと上に行くよ!」
楽しい、おもしろい。
パシーンッ
「ウォンバイ 青学、越前!6―3!!」
圧倒的な強さを見せたリョーマに、日吉は手も足も出なかった。
「ねぇ、終わったんだけど……」
余りの強さに、外野全員が絶句したままだった。
審判のコールも聞こえてなかったのかもしれない。
「す……すげーよ!越前!」
ワアァァ―――――ッ
リョーマの言葉に、青学側は歓声を上げた。
圧倒的すぎて、フリーズしていたようだ。
リョーマはすぐにパワーリストを各5Kgに戻して、先輩たちの元に戻った。
もみくちゃにされながらも、珍しくリョーマは笑顔を浮かべている。
リョーマの中で何かが変わったのか…………生まれたのかもしれない。
しかし、本人は何も気づいてはいなかった。
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