『君が笑顔でいるために』 完結
□6.Absence
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「っく、……ゲホッ……うっあ……ハァハァ……ヒュッ……ゲホゲホッ」
部活後、リョーマはトイレに駆け込んだ。
気持ち悪い。目が回る。
心臓が大きな音を立ててなっていた。
昨日、病院行ったばかりなのに…………。
「かはっ、ヒューヒュー……」
息をするたび、のどが鳴る。
―――ガサガサ
少し落ち着いた頃を見計らって、持ってきたポーチから5つの錠剤を取り出した。
それを迷わず口に含み、お茶で飲み込む。
「うっ……ゲホゲホ。……ハァハァ……」
肩で息をしながら、完全に治まるまで待った。
定期検診が3回もあるのも、頷ける。
こう毎回発作が出れば、心配されるだろう。
「イタ……イ……」
心臓がある部分をジャージの上から掴んで蹲る。
あとどれくらいの時間が残されているのか。
大会まで、自分の身体は持つのだろうか。
そんなことを考えてしまう。
それに、まだ部長と試合をしてない。
この間会った、猿山の大将ともしてない。
中途半端な状態で、終わるのは嫌だった。
………でなきゃ、あんな"白い檻"に、自ら足を運ぶなんてしない。
「まだ大丈夫……。まだ戦える……。……せめて、全国大会が終わるまでは……っ」
リョーマの悲痛な思いは届くのか……誰にも分らない。
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