『君が笑顔でいるために』 完結

□6.Absence
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   * *


「っく、……ゲホッ……うっあ……ハァハァ……ヒュッ……ゲホゲホッ」


部活後、リョーマはトイレに駆け込んだ。

気持ち悪い。目が回る。

心臓が大きな音を立ててなっていた。

昨日、病院行ったばかりなのに…………。



「かはっ、ヒューヒュー……」



息をするたび、のどが鳴る。



―――ガサガサ



少し落ち着いた頃を見計らって、持ってきたポーチから5つの錠剤を取り出した。

それを迷わず口に含み、お茶で飲み込む。



「うっ……ゲホゲホ。……ハァハァ……」



肩で息をしながら、完全に治まるまで待った。

定期検診が3回もあるのも、頷ける。

こう毎回発作が出れば、心配されるだろう。



「イタ……イ……」



心臓がある部分をジャージの上から掴んで蹲る。

あとどれくらいの時間が残されているのか。

大会まで、自分の身体は持つのだろうか。


そんなことを考えてしまう。

それに、まだ部長と試合をしてない。

この間会った、猿山の大将ともしてない。

中途半端な状態で、終わるのは嫌だった。


………でなきゃ、あんな"白い檻"に、自ら足を運ぶなんてしない。







「まだ大丈夫……。まだ戦える……。……せめて、全国大会が終わるまでは……っ」



リョーマの悲痛な思いは届くのか……誰にも分らない。




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