『君が笑顔でいるために』 完結
□4.Chance
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* *
「どうだい?うちのテニス部は」
「全然だね。レギュラー以外は話にもならない」
辛口のコメントに、竜崎は笑うしかない。
「てか、このままじゃ、試合出られないじゃん」
ムッとした顔でいうリョーマに、竜崎は意味深な笑みを浮かべた。
「もうすぐレギュラー戦があるじゃろう。一年の参加は、9月からだ。だが、手塚は、全国を狙ってる……。
強いやつを放っておくとは思わん」
「つまり、力を見せろと?」
「そういうことだな」
しかし、どうやって見せろというのか。
テニスすらまともにやらせてもらえないこの状況で。
「……お前なら、レギュラーに入れるだろう?」
「Of cause.入れないわけないじゃん!」
自信満々に言うが、それまた事実なため、注意できない。
「……Chanceは自分で作んないとね」
何かを思いついたのか、ニッという笑みを見せるリョーマ。
竜崎は、ほどほどにな。としか言えなかった。
* *
「おい、一年坊主のくせに、生意気なんだよ!お前!!」
「……(いるよね〜、弱いくせに偉そうな奴)」
部活前に壁打ちをしていると、態度だけは人一倍の先輩が因縁をつけてきた。
……思った通りだ。
「おい、何か言えよ!!」
「いるよねぇ〜、弱いくせに偉そうな奴」
人に因縁つけるくらいなら、その時間を練習に使えば?
無表情に言ってやれば、青筋を立てる荒井?先輩と林?先輩。
このまま試合に持ち込めないだろうか。そうすれば、力を示すことはできる。
……終わった後、部長に走らされるかもしれない、否、走らされるだろうが。
「ああ!?……上等だ!コートに入りやがれ!!力の差を思い知らせてやる!!」
「……いいよ。ただし、二人が相手してよ。……それとも、二人掛かりでも俺に勝てないとか?」
「………思い知らせてやる。いくぜ、林!」
挑発してやれば、簡単にノッてくる。
……てか、意味わかってんの??
一人じゃ、絶対に俺に勝てないって言われてるんだよ??
荒井先輩(?)は林先輩をつれて先にコートに入っていった。
その後ろを、リョーマが呆れながらついていく。
「(……ホントに、手のひらの上で転がされてることに気づいてないんだ……)」
ちょっと、良心が痛むかも……。
でも、願いを叶えるためには、このチャンスを逃がすわけにはいかない。
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