『君が笑顔でいるために』 完結

□3.Visit
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   * *


「越前!テニス部行くんだろ!一緒に行こうぜ?」

「悪いけど、呼ばれてるから」


誘ってきた堀尾に素っ気なく返して、数学準備室に向かう。



























コンコンッ


「入りな」


ガラッ


「しつれーしまーす」


一応声をかけて中に入ったリョーマは、進められるがままソファーに座った。

リョーマの小さな身体は、ソファーに沈む。


「……パワーリストを付けてるのかい?」

「今は20kgかな?試合状況とかで15kgは外せるよ」


制服に隠れたリストバンドを触りながら、竜崎の質問に答える。

一見、普通のリストバンドに見えるが、一つ5kgもするリストバンドだ。

試合中は、それを1kg、2kg……といったリストバンドと交換して、レベルを調整する。

……本来は、無茶しないためにつけられたものだったのだが、今では力の制御に使われているのだ。



「最後にはすべて外して……本気でやりたいけどね」


許してもらえるかはわからないけど……


「そうかい……」


竜崎はそれ以上言わず、手元の書類を片付けた。


「リョーマ、入部届は持ってるかい?」

「持ってない」

「なら、これに記入しな」


そういって竜崎は、一枚の紙をリョーマに差し出した。

受け取った紙に、クラス・番号・名前を書き込む。







「今日は見学だったね」

「Yes…….不本意だけどね」


不貞腐れたように言うリョーマに、竜崎はアハハと笑った。

リョーマがここまで表情を表すのはおそらくテニスに関することだけだと思う。

そして、それを見せるのは自分をよく知り、心許す人物の前だけだということも……


「書いたかい?」

「OK.」




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