NARUTO中編集1
□私の傍にいてください
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一向が、森を抜け、木の葉の里付近に差し掛かったとき、前のナルト2体が、足を止めた。
自然に、全員の足も止まる。
「ナルト……?どうし……『来ました』……え?」
カカシの言葉を遮って、ナルトは呟いた。
すぐに戦闘態勢に入る。
敵が側にいる。そう気付いた下忍たちも、それぞれクナイを取り出し、背中合わせになった。
『上忍、3名』
「うずまき?」
『ここをお願いします。私が道を造りますから、道が出来たら、まず、下忍の方々を里の中へ。……躊躇なんて、しないで下さいね?
………それが命取りになりますよ』
ナルトの言葉に、カカシを含む上忍3名は何も言えなかった。
実際、躊躇するということは、敵に隙を見せるということ。それが命取りになることも分かっている。
だからといって、真実はどうであれ、下忍のナルトを1人で置いていけるかと言われれば、それは否だ。
………置いていけるハズがない。
「アスマ、紅。お前ら2人は、下忍をつれて木の葉へ向かえ。………俺は残る」
「カカシ………」
「カカシ……、しかし………」
ナルトはそんな上忍の言葉を聞いていたが、静かに息を吐いた。
『いらないです。……躊躇はしないで下さいと、先に言いました』
ナルトの声は淡々としていて、感情がこもっていないように感じた。
『それに………もう遅いです』
「「「え……?」」」
ザシュ────ッ
上忍が聞き返したと同時に、ナルトは動いた。
いつの間にか手に持った刀を、突然現れた敵の首に振り下ろし、音も立てずに敵と向かい合う。
『………すぐに終わらせます。私だけで十分でしょう?』
──クスクス
ナルトは綺麗に笑った。……そして、舞った。
それはまるで巫女の舞。誰もがその美しさに、目を奪われた。
『………剣舞・桜花乱舞(おうからんぶ)。』
……桜の花びらが舞った。
それは、敵の視界を覆い尽くした。
『今のうちに行ってください』
「ナルっ!!」
『……シカ、私の私兵を呼んできてください。それまで………持たせますから』
「っ。……約束だ。絶対だからなっ!!」
『はい、私が約束破ったことありますか?』
「……何でも破られてる……」
『……そうでした。でも、……“こういう”約束は破ってないでしょう?』
「あぁ、約束………だからなっ!今、呼んでくる!!」
シカマルはそう言うと、木の葉に走っていった。後ろから下忍・上忍もついていく。
それにホッと安心するナルト。
シカマルと約束したのだ。
『これでもう………負けられない、死ねないですね』
シカとの約束を破るわけにはいきませんから。
ナルトはフワッと笑うと、再び敵と向かい合った。
敵は誰1人として、彼らを追うことはしていない。
『(……ちゃんと幻術に掛かってくれてるようですね)』
──クスッ
『行きます(あの人達が来るまで、持たせましょう)。
………剣舞・桜蘭蒼舞(おうらんそうぶ)』
ナルトはタッと地を蹴った。
そして、直後に、断末魔が森に響き渡った。
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