『届かない真実』 完結
□21.関係
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「跡部と幸村は日本でもトップクラスの家だよ」
呆れたようにスミレは付け足した。
跡部は有名だが、幸村なんて知らない。
「跡部はともかく幸村も……ですか?」
「ハッ、それだけで驚くには早えーよ」
「跡部と幸村が仲良くないことは、大人は誰でも知ってますよね?」
幸村の問い掛けは、手塚たちではなく、校長たちに対してのものだった。
しかし、答えを待たずに話は続く。
「その跡部と幸村が、唯一共通の幼馴染みがいることも知ってますよね?」
「幼馴染み……」
呆然と校長が呟く。
この後に続く事実が分かったのだろう。
「そして、今その家がどうなってるのか、も」
「どういうことだ?」
乾がめがねを上げて尋ねた。
データにない事実に、戸惑いを隠せない。
「まだ分からねぇーのか?跡部と幸村が唯一協力するっつたら、工藤家に関することしかねぇーだろうが」
完全にバカにしきったように吐き捨てる跡部に、ようやく手塚は理解してきたようだ。
「工藤家って……あの?」
「へぇー、でも、今関係あるんだにゃ?」
まだ理解できない菊丸たちは首をかしげている。
ここまで来ると、相手をするのもバカらしくなってくる。
跡部と幸村はそう思った。
理解しようとしていないのか、本当に理解出来ないのか。
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