『届かない真実』 完結

□15.期待
3ページ/4ページ



約束通り、翌日にテニスをした三人は、毎日のように出かけた。


そこには、南次郎や倫子がいたり、いなかったりで、様々な場所を訪れた。




「たぶん、中学校は日本で通うと思う」

「戻ってくるのか?」

「たぶんだけどね。あと2年あるし……」

「じゃあ、立海においでよ。僕がいるから」

「氷帝に来い。俺様がいるぜ?」

「……まだ2年あるんだけど」


どちらにリョーマが入るかでケンカを始めた二人に、リョーマは呆れるばかり。

昔と変わらない二人に、思わず笑みが漏れた。


「「リョーマ??」」

「二人とも、変わんないね」

「「…………」」



「そうか?」

「まぁ……そうかもね」

「見てて楽しいからいいけど」

南次郎の話では、アメリカでも誘拐はあるらしい。

だが、今はテニスボールとラケットを持ち歩いてることが多く、テニスでやっつけてしまうとかなんとか…………


まぁ、テニスでは異様なほど力を発揮するくせに、それ以外では全く力のない子どもそのもののリョーマだ。

テニスラケットとボールが手元にあるのは、下手なSPがいるより、最強かもしれない。





「どう?今の生活」

「楽しいよ?毎日テニス出来るし」

「テニスばっかだな」

一日一回はテニスをしているリョーマ。

だからか、おのずと話はテニスのことになるのだが……。


「本当にテニスが好きなんだね。立海に来て、全国大会に行こうよ」

「優勝すんのは氷帝だけどな」

「…………まだ二人って、小6だったよね?」


呆れの混じった指摘に、あっ、と気付く二人。


「(すでに中学に入ってると思って会話してるわけ?)」


リョーマは呆れたように二人を見るが、昔からのことなので、適度に放置。


二人が楽しそうだし、いいかな?と……。










1ヶ月間ずっとリョーマと過ごした二人は、夏休みの終わる前日、ようやく日本に戻った。


来年からは、中学の勉強で、部活でとほとんど来れないだろう。


メールのやり取りぐらいしかできない。



「(まっ、あと3年待てば、会えるし、いっか)」




…………二人と違い、楽観視しまくりのリョーマだった。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ