『届かない真実』 完結
□15.期待
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約束通り、翌日にテニスをした三人は、毎日のように出かけた。
そこには、南次郎や倫子がいたり、いなかったりで、様々な場所を訪れた。
「たぶん、中学校は日本で通うと思う」
「戻ってくるのか?」
「たぶんだけどね。あと2年あるし……」
「じゃあ、立海においでよ。僕がいるから」
「氷帝に来い。俺様がいるぜ?」
「……まだ2年あるんだけど」
どちらにリョーマが入るかでケンカを始めた二人に、リョーマは呆れるばかり。
昔と変わらない二人に、思わず笑みが漏れた。
「「リョーマ??」」
「二人とも、変わんないね」
「「…………」」
「そうか?」
「まぁ……そうかもね」
「見てて楽しいからいいけど」
南次郎の話では、アメリカでも誘拐はあるらしい。
だが、今はテニスボールとラケットを持ち歩いてることが多く、テニスでやっつけてしまうとかなんとか…………
まぁ、テニスでは異様なほど力を発揮するくせに、それ以外では全く力のない子どもそのもののリョーマだ。
テニスラケットとボールが手元にあるのは、下手なSPがいるより、最強かもしれない。
「どう?今の生活」
「楽しいよ?毎日テニス出来るし」
「テニスばっかだな」
一日一回はテニスをしているリョーマ。
だからか、おのずと話はテニスのことになるのだが……。
「本当にテニスが好きなんだね。立海に来て、全国大会に行こうよ」
「優勝すんのは氷帝だけどな」
「…………まだ二人って、小6だったよね?」
呆れの混じった指摘に、あっ、と気付く二人。
「(すでに中学に入ってると思って会話してるわけ?)」
リョーマは呆れたように二人を見るが、昔からのことなので、適度に放置。
二人が楽しそうだし、いいかな?と……。
1ヶ月間ずっとリョーマと過ごした二人は、夏休みの終わる前日、ようやく日本に戻った。
来年からは、中学の勉強で、部活でとほとんど来れないだろう。
メールのやり取りぐらいしかできない。
「(まっ、あと3年待てば、会えるし、いっか)」
…………二人と違い、楽観視しまくりのリョーマだった。
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