『届かない真実』 完結
□12.覚悟
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リョーマはベッドで寝ていた。
それは穏やかな眠りで、ひとまず安心する。
こわばっていた顔が緩んだ。
「幸村」
中に入ってきたのは、立海だった。
「ちょうどよかった」
「部長?越前になんかあったんスか?」
「それを今から説明するんだよ。……といっても、僕たちもよくわかっているわけじゃないから……」
幸村は悲しそうに目を伏せた。
思い出すのは、リョーマが倒れた時の喪失感。
また失われるのかと思った。怖かった。
「おそらく、これをやったのは青学。僕たちがかけつけた時にはこの状態で、リョーマが倒れてたんだ」
「部室も開いてねぇーし、学校には誰もいない」
「じゃあ……」
「リョーマはね、テニスコートにいたんだ。………血の跡があったから、間違いなくあそこで……」
そこからは言葉にならなかった。
全員がうつむいて、何も言えなかった。
医者の話によると、合宿があった日よりも前から暴力を受けていたらしい。
傷は治っているが、新しい傷がその上にできて、古い傷の治りも悪くしているという。
当分、体を動かすと全身に激痛が走るという。
そりゃそうだ。全身に打撲の痣があり、二の腕やお腹は、痣で埋め尽くされ、肌がほとんど見えない状態なのだ。
他の箇所も、似たような感じだった。
毎日のように受けていたらしい。
もう一ついうならば、テニス部員だけではないいらしい。
思いつくのは、クラスメイト。
……否、おそらく学校すべてが、リョーマの敵なのだ。
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