テニス短編

□元旦
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何とか無事お参りを済ませ、これ以上人ごみの中にいるのは嫌だというリョーマの意見を聞き入れたレギュラーたちは、
神宮の近くの公園に来ていた。


「大丈夫か?」

「大丈夫っス」

少し人酔いしてしまったリョーマは、ファンタを飲みながら、先輩たちと他愛もない話をした。


「越前」

「部長?」

「お前は俺たちの仲間だ」

「え?」

「だから、何も気にすることはない。‶それ"は必要のない疑問だ」


最初は、何を言ってるのか分からなかった。

けれど、先ほどの言葉が聞こえていたのだと分かり、真っ赤になった。


「俺たちは越前が大切だ」

それだけで、十分ではないか?


部長の言葉に、何も答えられなかった。

ずっと気になってた。


どんなに偽ろうと、自分が女であることは変えられない。

女である自分が、男子テニス部にいていいのか……

自分でそう望んだことであっても、ずっと気になってた。



誰にも言えなかった。けれど、先輩たちはそれに気づいてたのだ。

自分を気にかけてくれているということに、うれしさを感じながら、すごく恥ずかしかった。


「何か気になることがあれば、すぐに言えばいい」


そんな疑問も感じなくなるぐらい、構ってやる。


そう言い切った先輩に、リョーマは今度こそ、顔を上げられなくなるほど真っ赤になった。



どうして………どうして先輩たちにはわかってしまうのだろう。

ほんとにどうして………





「ありがとうございます」


普段なら、女であることを知られないように生意気に振る舞っていて素直にいえない言葉も、今はするりと言葉にできた。


「気にするな」


優しく撫でてくれる先輩たちの手に、リョーマは絶対に普段では見せない笑顔を見せた。


年相応の笑顔。





手塚たちも、そんなリョーマに笑い返した。

いつもは気づかれないようにと、気を張って生活する大切な後輩に、ずっと笑顔を向けてほしいと思っていた。

生意気な作った笑みでもなく、対戦の時に見せる挑発的な笑みでもない、………リョーマ本来の笑顔を。








―――ありがとう。

見つけてくれて。見ててくれて。


―――ありがとう。

本当の笑顔を見せてくれて。そばにいてくれて。



今年も大変なことはたくさんあるだろう。

けれど、彼らとなら、何でもできる気がした。

彼女となら、いつでも笑っていられる気がした。




だから……今年もよろしくね?

そして、全員が幸せである一年でありますように………


END

〔あとがき〕

あけましておめでとうございます!

昨年は、サイトを作り(と言っても、12月ですが)、たくさんの旅人に来ていただけました!!

今年も、リョーマ(他ナルトたち一同)とともに、がんばりますので、よろしくお願いします!!



夢の旅人の方々にとっても、今年一年はいい年でありますよう、サイトを通して、祈っています。


今年もよろしくお願いします!!  2014年 元旦



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