テニス短編
□元旦
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* *
約束の14時。
越前家に集まったレギュラーたちは、一斉に固まった。
彼らの目の前には、振袖に身を包んだリョーマの姿。
いつもは編み込んで短髪にして隠している髪を、すべて解放させて可愛らしくアップしている。
「何固まってんの?やっぱり、ヘン??」
不安そうに振袖を見るリョーマに、レギュラーは慌てて首を横に振った。
ヘンな訳がない。……似合いすぎて……可愛すぎて言葉が出なかったぐらいなのに。
「そっか……」
どこかホッとした様子で、肩の力を抜いたリョーマに、レギュラーたちは口々にかわいいやら似合ってるなどとほめ言葉を言った。
余りの気迫に、少したじたじのリョーマ。
しかし、その顔は嬉しそうに頬を染めていた。
* *
「うわぁ〜、いっぱいっスね」
初めての初詣に、リョーマはあたりをキョロキョロと見回した。
見当たるのは人人人人………と、わずかに見える屋台。
人酔いしてしまいそうだ。
「大丈夫か?」
「余りの人の多さに、目が回りそう」
心配そうに問いかけてくる部長に、リョーマは珍しく正直に答えた。
なんでこんなに人がいるのかとか、なんでこんなに屋台があるのかとか………いろいろ聞きたいことはあった。
しかし、それよりも………
「なんで、こんなに注目されてるの?」
やっぱり、ヘンなのかな?この格好。
先輩たちと合わないのかな??
リョーマは困ったように……少し自嘲気味にそう言った。
自分から見ても、先輩たちはみんな格好いい人たち(絶対に本人にはいってやんない)だ。
だから、自分がその中に入っていいのか、時々不安になる。
自分に自信がないから。
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