テニス短編

□元旦
2ページ/4ページ



「あ―――――っ!!!」

「っ!?」

急に聞こえた叫び声に、リョーマと南次郎はびっくりして声のした方を向いた。


「げっ、菊丸先輩」

「おちび〜〜〜〜!!何々!?巫女さん!?かっわいい〜〜〜!!」

「わっ!」

そう叫びながら飛びついてきた菊丸に、リョーマは本気で危険を感じて反射的に避けた。

この時ほど、己の反射能力に感謝したことはないだろう。と、あとになって思った。



「なんで、いるんスか!?」

「やぁ、ずいぶんかわいい姿だね、越前」

「不二先輩まで………」

よく見れば、不二だけでなく、部長や桃先輩、河村先輩までいる。

青学レギュラー+乾先輩全員がそろっていた。


「ほんと……なんでいるの?」

脱力したように、リョーマは肩を落とした。



「よう、越前。俺様のために、そんな姿をしてくれたのか?」

「んなわけないやろ。もちろん、俺のためやんな?」

「なんで氷帝がいるのかな?」

「初詣にどこ行こうが、お前らには関係ないだろう?」

「不二先輩、跡部さん、喧嘩するならよそでしてください。ほかの人に迷惑です」

顔を合わせればいつでも口喧嘩を始める二人に、リョーマは先手必勝とばかりに先に忠告しておいた。



「え、越前!その………昼に一緒に初詣に行かないか!?」

「あっ!!宍戸さん、抜け駆けはだめですよ!!越前君は、僕と行くんです!!」

「……誰も行くとは言ってないんだけど……」

俺を無視して話進めないでくれる??


にっこり笑顔でそういうリョーマに、青学・氷帝……そしていつの間にかいる立海のレギュラーは固まった。

リョーマを怒らせてはいけない。

今までの経験上から、学んできたことだ。

三校のレギュラーは、一瞬にしてだまった。


「よう、青少年たちよ。リョーマと初詣行きたいのか?」

「「「はい!!」」」

南次郎の問いかけに、21人ははっきりと頷いた。

……それは見事の一言に尽きるほど。


「なら、14時に家に来いよ。リョーマを初詣に連れて行ってやってくれ」

ただし、全員でな。


全員!?と思わなかったわけではないが、南次郎の機嫌を損ねてしまえば、リョーマに近づくことも難しくなってしまう。

それに……

「全員となら、まぁ………喧嘩しないならいいけど」

というリョーマの言葉もあったので、結局全員で行くことになってしまった。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ