テニス短編
□元旦
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「あ―――――っ!!!」
「っ!?」
急に聞こえた叫び声に、リョーマと南次郎はびっくりして声のした方を向いた。
「げっ、菊丸先輩」
「おちび〜〜〜〜!!何々!?巫女さん!?かっわいい〜〜〜!!」
「わっ!」
そう叫びながら飛びついてきた菊丸に、リョーマは本気で危険を感じて反射的に避けた。
この時ほど、己の反射能力に感謝したことはないだろう。と、あとになって思った。
「なんで、いるんスか!?」
「やぁ、ずいぶんかわいい姿だね、越前」
「不二先輩まで………」
よく見れば、不二だけでなく、部長や桃先輩、河村先輩までいる。
青学レギュラー+乾先輩全員がそろっていた。
「ほんと……なんでいるの?」
脱力したように、リョーマは肩を落とした。
「よう、越前。俺様のために、そんな姿をしてくれたのか?」
「んなわけないやろ。もちろん、俺のためやんな?」
「なんで氷帝がいるのかな?」
「初詣にどこ行こうが、お前らには関係ないだろう?」
「不二先輩、跡部さん、喧嘩するならよそでしてください。ほかの人に迷惑です」
顔を合わせればいつでも口喧嘩を始める二人に、リョーマは先手必勝とばかりに先に忠告しておいた。
「え、越前!その………昼に一緒に初詣に行かないか!?」
「あっ!!宍戸さん、抜け駆けはだめですよ!!越前君は、僕と行くんです!!」
「……誰も行くとは言ってないんだけど……」
俺を無視して話進めないでくれる??
にっこり笑顔でそういうリョーマに、青学・氷帝……そしていつの間にかいる立海のレギュラーは固まった。
リョーマを怒らせてはいけない。
今までの経験上から、学んできたことだ。
三校のレギュラーは、一瞬にしてだまった。
「よう、青少年たちよ。リョーマと初詣行きたいのか?」
「「「はい!!」」」
南次郎の問いかけに、21人ははっきりと頷いた。
……それは見事の一言に尽きるほど。
「なら、14時に家に来いよ。リョーマを初詣に連れて行ってやってくれ」
ただし、全員でな。
全員!?と思わなかったわけではないが、南次郎の機嫌を損ねてしまえば、リョーマに近づくことも難しくなってしまう。
それに……
「全員となら、まぁ………喧嘩しないならいいけど」
というリョーマの言葉もあったので、結局全員で行くことになってしまった。
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