テニス短編
□餅つき
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「おっと、ちょっとどいてくれ」
「あ、すみません」
ドアの近くに立っていたリョーマは、大石に言われ、隅のほうによけた。
「よっと。不二、シートは引いたか?」
「できてるよ」
「英二、片栗粉は用意したか?」
「3袋ちゃんと買ってきたにゃ!」
「タカさん、塩とエビはあるか?」
「大丈夫。ちゃんと持ってきた」
「乾、乾汁はちゃんと家においてきたか?」
「……ああ。……おいしいのに……ブツブツ……」
「乾汁入れるつもりだったんすか……?」
リョーマは大石たちの会話に、冷や汗を流した。
乾汁なんて入れられたら、食べられたもんじゃない。
にしても………
「これ、何すか?」
杵と臼をイメージしていたリョーマは、目の前に置かれた機械に首を傾げた。
「みんなそろったな?では、今年も餅つきを始める」
オオ――――!!
「まずは、コンセントをさして………」
「次に、もち米を入れて………」
「そして蓋をして……」
「んで、スイッチオン!!」
ウィィ――――ンッ
ガコガコッシャッシャッシャ(←機械が動いている音ともち米が回っている音)
「さぁ、あとは塩を入れて、出来上がるまで待つだけだ!!」
「杵と臼でつくんじゃないんスかっ!?」
「杵と臼?そんな重労働だれがするんだ」
えええ――――っ!?
リョーマはイメージしていた餅つきの映像が、ガラガラと壊れたのが分かった。
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