テニス短編
□4月1日
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――4月1日。
エイプリルフールの日。
嘘をついても赦される日。……本当に赦されるのだろうか?
「ねぇ、先輩」
「なんだぁ?」
「April foolって、嘘ついてもいい日なんだよね?」
「おう、そうだぜ!」
「ふーん」
嘘をついてもいい日。
じゃあ、それに乗じて、嘘にしか聞こえない本当を言ってもいいのかな?
――キーンコーンカーンコーン♪
「よっしゃー!部活だぜ〜!」
「先輩、うるさいっス」
「何を〜〜」
「えっちぜーん!モモちゃん先輩!聞いてください!」
「あん?」
「カチローがテストで0点取ったんスよ!」
「え!?マジか!?」
「……堀尾ならともかく、カチローが0点って……」
――絶対嘘だよね。
「え?嘘?」
「なんだ、やっぱり越前は分かってたか。てか、俺はともかくってどういうことだよ!」
「そのままじゃん。あのカチローが0点取ったてことより、堀尾が0点取ったていう方が信憑性あるよね」
「生意気だぞ!!」
「おちびー!聞いてよ!!大変なんだよ!!」
「何がっスか?」
「手塚が遅刻してきたんだよ!!」
「はあ?」
「あの手塚が、遅刻してきたんだって!!」
「嘘ならもうちょっとまともな嘘ついてください。部長が遅刻したら、もっと大騒ぎになってるでしょ」
「あ、それもそっか」
「菊丸先輩が遅刻したんなら話は別っスけどね」
「そうだよね〜……って!ひどくない!?おチビ!!」
「そうっすか?事実だと思うけど」
「あ、部長……」
「どうした?越前」
「えっとスね、俺、テニスやめます」
「「「「何ぃぃぃぃ〜〜〜〜!?!?!?!?」」」」
「なんで?!どうしたの!?」
「何かあったのかい?話なら聞くよ!」
「越前、誰かに何か言われた?僕に教えてくれる?呪ってあげるから」
「ふ、不二が開眼してる……」
「越前、乾汁でも飲んで目を覚ますか?」
「……先輩たち、本気になりすぎ。嘘に決まってるっスよ」
「「「「え……」」」」
「俺がテニス辞めるわけないじゃん」
……辞めるなら、誰にも告げず、姿を消してるよ……
「脅かすなよ〜〜」
「ふ、ふしゅー……」
「マジでビビったー!」
「エイプリルフールって、結構楽しいっすね」
「「「全然楽しくない!」」」
「じゃあ、俺が実は女なんですって言ったらどうします?」
「「「「ぶほっ!!」」」」(鼻血)
「……汚いっス」
「越前が女……」
「オチビが女……」
「リョーマ君が女の子……」
「「「いい!!」」」(グッ)
「……嘘っす」(怒)
「「「やっぱりか……」」」(ガックリ)
「先輩たちのバーカ。嘘っていうのが嘘だよ……」
けど、まだ教えてやんない。
来年も再来年も、その次の年も……
中学を卒業して、高校になっても同じ嘘を繰り返してあげる。
そしたらいつかは気づくよね?
―――嘘に混じった本当に……
END
〔あとがき〕
やっとインターネットに接続できました!!
いやぁ〜、長かった。本当に長かったです。
気付けば4月。
エイプリルフールって言っても、特に嘘つくわけじゃなくいつも通りの日常。
次はテニス長編の続きをUPしたいです!
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