『Lost and Rescue〜囚われた心〜』 完結
□第1部 脅かされる心3
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レギュラー戦は少しいつもと形式が違う形で幕を開けた。
2.3年の平部員でリョーマと勝負する、という者が多かったせいだ。
その結果、予定より1日繰り上げて、先にリョーマVS2.3年平部員一部、の試合が行われた。
リョーマの力は衰えることなく勝ち進む。
特にすごい技でも仕掛けたわけじゃない。
普通のサーブに普通のレシーブ。
そして普通のスマッシュ。
まぁ、あれを普通……と言えるのはレギュラーだけだろう。
ボールが宙を舞うたびに風の唸り声が聞こえるのだから……。
(つまり、スピードについてこれてないだけ)
圧倒的な強さを見せたリョーマに、レギュラーたちの顔が険しくなる。
「ウォンバイ、越前!4−0!!」
フルで戦うには時間がかかりすぎる(と思われた)からと、4ゲーム先取した方が勝ち、という方式。
(その必要はなかったみたいだが)
この試合で最後だ。
50人近くと戦ったにもかかわらず、2時間弱で終わってしまった。
結果的にリョーマから1ゲームどころか、1ポイント取れた奴(15ポイント?)はいなかった。
「すっげー、越前の奴、マジで勝ちやがったぜ」
「フシュー!!」
リョーマの強さに興奮気味の桃城と海堂。
心から戦ってみたいと思っていた。
菊「何アレ。いい気になるなっつーの」
乾「ふん、自分の力を誇示したいだけだろう」
河「なんか………ヤな感じだね」
不「でもあれじゃ、僕たちの敵じゃないね」
大「だな、どんなにスピードが速くても、あんなものが通用するとは思えない」
手「……油断はするな」
言いたい放題のレギュラーに、手塚はリョーマを見たまま諌める。
手塚にはリョーマが本気を出してるようには全く見えなかった。
……むしろ、スピードだけで50人弱に勝てるほどの力の持ち主だと思っている。
「(あのスピードに技術が付いたら……)」
正直、自分が勝てるかどうかわからないだろう。
スピードだけなら眼さえ慣れたらどうにでもできる。
だが、50人が50人ともそのスピードについていけなかった。
他のレギュラーは気づいてないようだが。
手塚もまた、本気のリョーマと闘いたいと思っていた。
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