『君が笑顔でいるために』 完結
□7.Hospital
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In 総合病院
「こんにちは、リョーマ君」
「……そのわざとらしい笑い、やめてください」
リョーマは、入るなり向けられる顔に、嫌な顔をしながら椅子に座った。
「今日は部活、あったのかい?」
担当医の先生は若い――確か23歳だっけ?――だから、学生事情をよく知っている。
「あったよ。でも、まぁ……アメリカに連れ戻されるって言ったら、許可してくれた」
「くすくす、君らしいね」
それに、この先生も男子テニスをしていた……否、している。
今もプロのテニスプレイヤー(団体)の一人として、活躍しているのだ。
……もっとも、普段は病院の先生で大会に少し出るくらいだけど。
「体調はどうだい?薬で治まってる?」
「一応、ね。部活の後に出ることが多い」
「……無茶はしないようにね。
…………リョーマ君、手術受ける気はない?」
「ない」
キッパリ。
0.5秒で答えると、先生は笑った。
いつもそう。
断る事を知っていて聞いてくる。
大会が近いし、大会にも出たいことを知ってるのに、ね。
ましてや………
「生きられる確率が30%の手術を受けるくらいなら、テニスをしていたい」
だから、日本に来たんだ。
「そうだね。……日本もいい処だろ?」
「うん。来てよかったかも、って思い始めてるよ。強い人、いるし」
アメリカじゃ駄目だったから……。
男はみんな手加減する。
それに、本気にさせたら言い訳をベラベラするから………。
だから、誰も自分のことを知らない日本に来た。
J大会(男子部門)は、誰も気づいてなかったから、確実に実力で優勝したけどね。
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