『届かない真実』 完結

□22.破滅
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「どういう状況だ?チビ助」

「どうもこうも。暴露大会?」

「景吾、精市……何があった」

疑問系ですらない質問に、二人は顔を引きつらせた。


リョーマと同じ顔のくせに、全く可愛くない男。

二人は少し苦手だった。(何より、リョーマを一人占めしようとするから)



逃げられないことを悟った二人は、かくかくしかじかと今までのことを説明した。










「ほぉ…………」

地を這う声が聞こえた。……正直、怖い。


「お前ら、覚悟はいいんだろうな?」

「ほどほどにね。親父も来るって言ってるし」

「ちっ、仕方ねぇー」

「よう、リョーガ。帰ってきたのか?」


―――バッ


「「南次郎さん!?」」
「「親父!!」」

「よう」

「久しぶりだな、南次郎」
「バアさんもな」

ひょうひょうと現れた南次郎に、リョーマは頭を抱えた。


一体、どこまでややこしくなるのだろうか。


「坊ちゃま!!あぁ、ご無事でしたか!!」

「誰?」

「私です!寺田でございます!」

「……知らない」


プイっと横向くリョーマ。

寺田は驚き、項垂れた。


「坊ちゃんなんていう人は、知らない」


パアァァ―――…………


そんな効果音が聞こえてきそうなくらいの笑顔になる寺田。

「リョーマ様!今すぐ家に戻りましょう!」

「景吾、精市。悪いけど、追い出して?」

「「リョーマ……」」


身も蓋もない言葉に、二人は困ったようにリョ―マの名を呼ぶしかできなかった。

完全に空気はぶちこわされた。


一体、何しにきたのか。とっとと終わらせて帰って、テニスがしたい。


リョーマは既に、今の状況に飽きていた。


イジメも裏切りも、もうどーでもいい。

テニスさえ出来れば、もう何でも良かった。




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