テニス短編

□元旦
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1月1日

リョーマは、除夜の鐘の音を聞きながら、お参りに来る人たちのために甘酒を用意していた。

本来なら、母・倫子の仕事だが、仕事の関係で、家で書類を作っているから、(強制的に)リョーマの仕事となった。


「リョーマ、初詣は誰かと行くのか?」

「なんで?」

「仮にもお前も女だろ??」

「残念。彼氏いないから行かない」

リョーマはからかってくる南次郎を相手にしながら、訪れる人に笑顔を振りまいていた。


リョーマの姿は巫女姿。

正直、テニス部の先輩たちには見られたくない。

まぁ、先輩たちの家からここまでは結構な距離があるから、わざわざ来ることはないだろうが……。



「さみしいやつだねぇ〜」

「うるさい。それより、何回鳴らしたか……わかってる?」

「78回」

「………80回だよ。ちゃんと数えろよ」

リョーマはわざとらしい溜息をつくと、再び訪れてきた人を相手した。


108回鳴らすはずが、それ以上ならされてはたまらない。


「おー、リョーマ」

「何」

「そっけないねぇ〜。着物着ろよ?」

「ヤダ」

「問答無用。巫女衣装に比べたら、ましだろ?」

「……今すぐ脱いでいい?すぐにでも寝たいんだけど」

リョーマは南次郎をにらんだ。

これが当分続くと思うと、今すぐにでも投げ出してしまいたい。




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