novel
□Cinderella
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「ああっ!すいません、もう一回お願いします!」
案の定撮影現場で、エンは思ったとおりミスを連続していた
時間は刻々と過ぎていくのに、撮影は全く進まないのだ。
頭の中のイメージでは完璧にできているのに、むしろいつもなら完璧にできるのに
自分の演技が他人の演技に思えてもどかしくて仕方がない
忙しいのは自分だけじゃない。むしろ他の人の方が忙しいかもしれない。
寝る間も惜しんで撮影に参加してるというのに自分の所為で迷惑がかかっていってて
逃げ出したくて逃げ出せなくて胸が締め付けられる
「......今日はやめにしようか」
「......っ!!」
呆れたようにため息をつく監督の姿が頭を駆け巡った
“次は必ず成功させます!!やらせてください!!”
......なんて。
言えるような立場じゃないことをエンはよくわかっていた
「すいません...本当に。......ごめんなさい」
声が震えてうまいこと出てきてくれなかった
泣くもんかと唇をギュッと噛み締めて頭を下げた
俺個人が何を言われようが大丈夫だけど
グループで活動してるアイドルのそこのリーダーとなれば話は変わってくる
VIXXの知名度を上げるためにやってることが裏目に出てしまう
深くついたため息がエンをさらに疲れさせた。