novel

□雪
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広がる一面の雪に思わず息を飲んだ。

自分が呼吸してるかさえもわからないほど真っ白な世界はエンを受け入れた


「エンヒョン!おはよー!」


いつも何度怒鳴ってもけっても殴っても起きない寝ぼすけな弟たちは
もうとっくに用意を終えて雪にまみれているのである


「毎日雪が降ればいいのに......」


そっ、と小さく呟いてエンは白い世界に下り立った


まだ足跡もついてない雪に心が弾む

綺麗な清いものを壊してしまいたい、汚してしまいたい、そんな気持ちでいっぱいだった

エンの足がサクサクと雪の世界を汚していく。

人間にとっての快感であった


だけど寝起きのまま薄着で。寒くない訳がない


「......って!」


突然頭にぶつかってきた冷たくて白い塊。


遠くから弟達の笑い声が聞こえてきてエンの心に火が付いた


「やったな!?」


弟たちは、ダンスで鍛えた瞬発力に柔軟性で
飛んでくるたまを避けながらどんどん近づいてくるエンに笑いが止まらないのだ


「わ......っ!」


そんな姿を1人、玄関から眺めていたレオは雪の上でおおっぴらに転けるエンを捉えた。

なかなか起き上がらない姿にレオを含め弟達も心配になって雪玉を捨てて近づいていく


「エンヒョン大丈...ブッ!」


手を差し伸べたラビの顔面にエン特性の特大の雪玉が命中した


「隙を見せるなんて俺も舐められたもんだな!!」


いつの間に作ったのか、何十もの雪玉を至近距離で当ててくるエンに
一生かなわないなぁって、5人の笑い声が白の世界に響いた
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