novel

□common
1ページ/1ページ




「は、ちゃんと返事しろよ馬鹿レオ!」


「うるさい」


「いいから返事しろよチョンレオ!」


ああまたか、と4人は思った。
よくもまぁ毎日飽きずに喧嘩できるなぁとも思った。


エンとレオは、とても相思相愛とは言えない2人だ。

どちらかと言えばエンのアプローチが多い、というかレオのアプローチは無いに等しい
気づいたときにはいつも言い合いをしているような恋人達。

エンの気持ちはすごくわかる。
だけどレオの気持ちもわからなくもない。


エンはうざい。

そうだエンはうざい、これに尽きる。
自分の話したことに対して相槌や返事を必ず求めるし

独りが嫌いで常に隣に誰かにいて欲しがるから
真冬の寒い時は勿論、真夏の暑い時でもベタベタと肌を合わせてくる。

ステージでは色気があるしリーダーとしてしっかりしてるから尊敬はしてるし好きだけど、
付き合いたいとは思わない。


レオは怖い。

特にないけど言うとしたらこれに限る。
誰が何を言おうとほとんど口は開かない
普段から目つきが悪く無口だと怒っているようにも思える。

だからこそ話しかけるのに何度も躊躇した。
今はそんなことないけど

話を聞いてもらい時はいいけど、話し相手には不向きだろう。

独りが好きだから例えそういう関係になったとしても
上手くはいかないだろう。


言ってしまえば正反対。


どっちからそう言う仲になったのかわからないけど
今までよくやってこれたなぁと思う


ラビは口喧嘩しながら歩いて行く2人に目を移して、自分の目を疑った

ブツブツ言ってるエンの肩をレオが抱いているのだ
いつもエンに肩を抱かれて嫌そうな顔をしているのに自分から抱きに行くなんて。


身長的な問題か...?


いや違うだろう。

エンがギャーギャー騒いでるのに、どこか嬉しそうなのは何故だろうか?
自分たちが入り込めない関係を2人は知らないうちに築いてるのである。

相思相愛ではないけれど、仲良しなのにはかわりないのだろうか


「ヒョン愛されてますか?」


「ん?愛されてるよ〜すごく」


テレビに夢中なエンにラビはさりげなく聞いてみた。


答えは余りにも呆気なく、即答で真っ直ぐな返事が帰ってきて思わず聞き返す


「あは、みんなレオの優しさを知らないんだ〜」


それはもう本当に幸せそうに笑って話すエンが綺麗で
本当にこの人は愛されてるんだとわかった



そしてその日の夜に、ラビはもう一度目を疑うことになった。


疲れきってソファで眠りについたエンに呆れながらも
優しく毛布をかけて寝顔を見つめて目を細めて笑うレオの姿。

カメラの前でもファンの前でも見せない特別な笑顔に思わず自分までもドキドキしてしまう


エンの前だとこんな笑顔になれるんだ、と。


十分に寝顔を堪能すると、多く持ってきた毛布を広げソファに腰掛けた。
まさか、と思ったとおりそのままレオはエンにもたれ掛かる姿で寝息を立て始めた


エンの片思いかと思っていたのが音を立てて崩れ落ちるのがわかった

2人は既に相思相愛、いやむしろそれ以上の関係になっていたのだ


そう言えば......
今思い出してもそういう事はよくあった。

出かける際にレオが多めにコートを持って行ってエンが寒いと言えば渡していた気もする

コーヒーを入れてってエンのリクエストも、嫌々ながらも丁寧に答えていた。
この間も1つのイヤホンを片耳ずつ分けあっていたような


思い出せば止まらないレオの優しさに震えた。

レオからのアプローチが無いなんて、そんなの戯言にしか思えない。
ここまで相手を想っているのに気づくこともできないなんて


本当に2人はすごいと思った



「ヒョン愛されてます?」


無言でうなづく、その人。
そしてそれ以上何も言わず真顔を続けるその人。


正反対?
何を馬鹿なことを言っていたんだろう自分は


もうとっくに似た者同士。
相思相愛に違いなかった。



つくづく思う......羨ましい...なんて。


自分には少し重たい気持ちかもしれないな、って。


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ