novel

□contrary
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「愛想良すぎ」


「そう言うお前は愛想無さすぎ」


ムッ、て唇上がるの見逃してないよ
ほらまた口閉ざした。


ピクって右眉が動いたのも見逃してないからね。

気に入らなかったみたいだけど、無視無視。


そうしてハギョンはまた携帯に目を移してラインにのめり込む。
違うグループの親友は、いつもハギョンを楽しませてくれる。


(ま、テグナも色んな意味で楽しいんだけど)


ふふふっ、と思わず声に出して笑うと椅子から立ち上がったテグンが思いっきり携帯を取り上げた。

何事かと思ってるとテグンはそそくさに何かを打ち込むと、携帯をテーブルに置いて頭に手を乗せてきた


「な、なに?」


「愛想良いのもいいけど......」


呆れたようにため息をつかれて、髪をぐしゃぐしゃにしてくる


まるで飼い犬の頭をワシャワシャするみたいに。


「テグナ......?」


見つめられて名前を呼ばれる。

先に仕掛けたのは自分なのに、そんな簡単なことで彼に引き込まれてしまう。


ハギョンは愛想が良すぎる。

決して悪いことではない。
挨拶ができないグループは売れる売れない以前の問題だろう。


しかし彼はもう本当に際どい位置に立つ。
初めて会った人、友人、同期、先輩、番組のMCでさえも自分の世界へ誘うのだ。

人を立てることを忘れない彼は言葉選びも愛想もよく
言いたいことはきちんと言うわりに、褒めることも忘れない。


そんな彼を嫌う者など誰ひとりいないのだ。

可愛い後輩だの尊敬できる先輩だの、好かれないわけがない



だからこそ、


(......嫉妬する)


「気をつける」


敵わない、相手だ

背くだけ無駄な気がしてテグンは自然に笑顔を見せた


「どういう...」


風の吹き回しだ?
ハギョンの言葉は紡ぐ前に胸の奥底に沈んでいった


テグンの笑顔が余りにも綺麗だったから。





(なんだ、そんな顔できるんじゃん)

 

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