novel

□alcohol
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意外と男らしい手がコップを掴んで、口に運ばれて口づけられて、喉仏が動くのが視界に入って


あ、やばいもう目が離せない


全部飲み干して机にコップを戻すともう片方の手が缶を掴んでコップに注ごうとするから、
流石にそれは、と腕を取ると彼の手から缶を取り上げる。

何か言いたそうな顔して、睨みつけてくるけど知らんふりして自分もコップに口付けた


そしたらまた遠くから缶を受け取って開けてコップに注ごうとする
だーかーらー。


「飲みすぎ」


そしてまたレオはエンから取り上げる。
理解できなくてエンが何も言わずに見つめてるとレオは呆れたようにため息をついた


「酒強くないんだからあんまり飲むなって」


そう。
珍しく早く仕事が終わって明日も全員がゆっくりの出勤で、だから久しぶりに、夜更し。

いつもバカみたいに話してるけどこうやってゆっくり話すのも悪くないからってエンが言って

そうしてたらだんだんお酒も入っていって


マンネラインは数杯飲んで笑って騒いで床にブッ倒れて爆睡してるし
ケンとラビは意外と強いのか追加にお酒を買いに行って

宿舎には2人っきり


ぼーっと、ただ機械のように手を動かして
次々とお酒を体に入れていくエンを見てられなくなって、ついつい止めてしまう


「大丈夫だよ....?」


へへへ、って真っ赤な頬で笑うからドキドキと心臓が鳴ってしまう


大丈夫なんかじゃない。
もう既にエンは酔いが体中に回っているのだ

会話にならないほど呂律が回らず、
最初こそマンネラインと騒いでたものの今は落ち着いて次々と運んでいく

大丈夫なんかじゃないのはレオが1番わかっていた

というか、後始末は全部自分がやらなきゃいけないのを自覚していて
さっさと寝てもらったほうが楽なのだ


「あとで辛いのお前なんだから」


沢山仕事をこなしてると飲まなきゃやってけない事もあるだろうけど
今日は異常な飲みっぷりで心配してる。

実は。


「もういいだろ?今度また付き合ってやるから」


そう言ってエンを立たせて寝室に向かわせる
でも、ここでちゃんと動くエンなんかじゃないのはよく知ってる


「ぎゅ、ってして」


少し上目遣いでそう言われて、ああ無理耐えられない
そんなこと、こちらから喜んで。


優しく包み込んでトントンと背中を撫でてやると嬉しそうに声を漏らす


「テグナ、あったかい」


へへーって力の抜けた声が可愛くてついつい頬が緩む。



こんなの、お前以外にしないんだからなって、言ってもわからないだろうけど


 

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