novel

□chocolate kiss
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「エンヒョーン!」


すっかり太陽が沈んでしまった頃


自分よりも少し小柄な体に思いっきり抱きついた
いや、正確に言えば追突した、の方が正解かもしれない。


「もう、ケン!痛いから!」


そしたらヒョンは、腰に回した腕を力の限りで外して背中を向けて歩いていく。

機嫌が悪いのか、それとも僕、何か怒らせてしまったのかな


そう心配になってしまう。



愛想がよくて愛嬌のあるヒョンは沢山友人がいて誰とでも仲良くなれる。


でもそれとは裏腹に意外にも打たれ弱く、人の気持ちの変化に敏感だった。

勘がいい、とでもいうのだろうか。

練習生時代でも誰かが辞めようかと考えていたら、何も言わなくてもヒョンはご飯に誘っていた。


人間観察してるって訳じゃなくて、嫌でも気になってしまうのだろう

表情のちょっとした変化や、体制、喋る声のトーンでさえもちょっと違うだけで不安にかられてしまう


それくらい、エンヒョンは周りの変化に敏感だった




それほどまでに、とはいかないもののケン自身も周りの変化には気になる方だった。

だからこそ今日のエンヒョンはおかしい、のだ。


「......どうしたんです?」


ムスッとしてソファに座って携帯を眺めてたエンヒョンにコーヒーを入れて隣に座る。


「ありがと...」


目も合わせずにカップに入ったコーヒーに口をつけるエンヒョンの横顔を眺める


「別に何でもないよ」


ヒョンが何でもないという時は、逆に何かある時だ。

何年も一緒にいれば、それくらいわかって当然だろう


元気に笑ってるエンヒョンが好きだ。
愛しい人にはいつだって笑っていて欲しいものだ。


「あ、ちょっと待っててください」


何かを思い出したようにケンはソファを立つ


そんな姿をエンはぼーっと眺めているだけだった



 
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