セツナレンサ

□第7章
2ページ/23ページ






『そうなの?じゃあ同じ映画を見るのって嫌じゃなかった?』
「それがすごーく子供の頃に両親が見てるのを見ただけなの。多分レンタルか何かで」



そして考え込むような顔をする。





「でも子供だったから難しくて。ちょっと大人になってみると違うのかなって」
『そうだったんだ。そんなに難しいのに佐江に理解出来るか不安になる…』
「大丈夫だよっ。昔の映画だし知ってる俳優さんはいないかもしれないけどね」





そんな話をこそこそ話していたら場内が暗くなった。

古い映画、しかもフランス映画!

寝ないといいなあ…。





































――――――――――上映終了後。





「あー、しみじみ良かったねー」
『だね。でも最初はとっつきにくかったけど』
「最初は心配したんだけどね。佐江ちゃんが寝ちゃったらどうしようって」
『うーん、それに関しては自分でも心配だったけど…でも面白かったよ。あまり有名じゃないの?』
「当時は結構評判が良かったみたいだけどミニシアター系で公開されたりしたのかもね」
『なるほど…でも主人公の正体が最後に分かるところとか鳥肌だったよ』
「ね?そしてあの将軍が先に気付くって言う…」
『綺麗な映画だったなあ』





そんな話が自然と弾む。

さすが玲奈のセンスは間違いないね!というと照れたように




「何を上映してるのか調べたら見つけちゃったから。子供の頃に戻ったみたい」
『思い出の映画みたいなもんだよね』




子供の頃に見たって言ったっけ。
家族仲がいい玲奈だからご両親と見たのかもしれない。




『また面白そうな映画があれば誘ってよ』
「うん!絶対誘うからね」




玲奈が嬉しそうなのは自分が薦めた映画を佐江が気に入ったから安心ってとこなのかな。
このくらい、いつだって付き合うのに玲奈はちょっと遠慮がち。
元々1人が好きで苦じゃないから強引に誘うようなことはしないと決めてたりして。
佐江は寂しがりだから誰かと一緒の方がいいけどなあ。





「お腹空いたよね?何を食べようか」
『焼肉!』
「…うー、佐江ちゃんがどうしてもって言うなら…」
『冗談だよ。玲奈が行きたい所でいいよ』





玲奈がお肉は苦手なのを知ってるからちょっとからかってみた。




「もう、たまに意地悪だよね。じゃあ…」




玲奈が一緒に行きたがったのは普通のカフェ。
でもこじんまりとしていていい感じ。





「ここね、ハンバーグが美味しいみたいだけどピクルスも自家製だし、キッシュやミートパイもあるんだよ」
『へえ、美味しそう』




全体的に手作り感が出ていてそそられる。





『玲奈はどれ?』
「私はこの日替わりにしようかな…」
『じゃあ一緒のにするよ』




雰囲気も良くて美味しいと評判のお店。

そんなところで玲奈と一緒にいると気持ちがゆったりしてくる。
玲奈は可愛くて真面目で、でも情熱的な部分もある。

1人が好きだけどこんな子がすごく好きになる相手ってどんな奴なんだろ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ