セツナレンサ

□第1章
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才加の店から歩いて割と近く。

佐江のバイト先はある。



「いらっしゃい…って、佐江ちゃんか、お疲れさま」
『お疲れさまでーす。まだお客はゼロ?』
「まだ開店すぐだからね」


そう返してくれたのはこれまた心友の優子。

才加と優子と佐江の3人は高校の頃からの仲良し同士。
気付いたら皆女の子が好きだと言う事を知った。
とは言っても3人は本当に友達だから恋愛対象じゃない。
お互いにいい関係なんだ。

才加と優子は2人ともお店を出すために頑張っていてほぼ同時期に独立した。


2人から「店を出したら手伝ってね!」って言われたけど少しの差で優子が早かった。



「じゃあたまには協力してね。佐江がいてくれたら心強いよ」


という才加の言葉にたまーに手伝いに行ってる。
でも才加も才加で他の人にもお願いしてるみたいだし、本当にたまに。


優子の店も大繁盛。
ちなみに優子の店はガールズバーだ。

いわゆる男性向け…だけじゃなくて女性も大歓迎。(というか女性のほうが歓迎ぽい)


「可愛い女の子を雇えるからねー。うひひ」

って優子は笑うけど、ビアンバーを出さなかったのは才加のライバル店になりたくなかったからだろうと思う。
才加も優子もお店を他の人に任せて互いの店に顔を出したりしていい関係だ。




『じゃあ着替えてくるね』
「ほーい」


優子はグラスを磨いたりしてお客さんの来店に備えている。
着替えるって言っても普通に黒っぽい服を着るくらい。

可愛い子たちを雇っているのに佐江はこのままでいいの?と尋ねたら


「佐江ちゃんには違う層を取り込んでもらうからさ!」


ってニヤニヤしてたけど…。
まあ、なるほど、ってことは結構あった。
男性は佐江が女っぽくないから喋りやすいっていうし、女の子からはよく指名される。
優子は色々と気がつくからその辺りも分かってたんだろうな。
今日は黒のパンツに白いワイシャツ、黒のベストを着る。
ネクタイはいっか…。
今日は着けたくない気分だからこれで行こうっと。
お店に出ておしぼりやら色々準備をしていると女の子たちもやってくる。


「お疲れさまでーす」
「お疲れさーん!」


優子が元気に出迎える。


佐江も『お疲れさま』と対応すると

「佐江ちゃん、今日もイケメンっ!」
って通りすがりに肩に手を置かれる。
『どうもありがと』
「本気で言ってるのに冷たいなぁ」
『はいはい。そういう君も可愛いね』


と言うと嬉しそうな顔をする。

お客さんたちと接するんだからテンション上げてもらわなきゃね。
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