夏空

□第2章
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放課後。




「えっ?今からゲーセン?」

「ああ、最近は部活と塾ばかりで友美と遊ぶ暇もなかったからな」

「そうだよー、佐江ちゃんも行く?」

「おおっ!もちろ…」

「おっと…友美、ほら…」

「んー?…あ」


才加とともちんの2人がニヤニヤしだした。

廊下には…松井さん…と山本の姿が。

そして山本もこちらを振り返るとニヤニヤ。

なんなんだ。ニヤニヤ病が流行っているのか!?


「聞いたよー?佐江ちゃん、松井さんと付き合っているんでしょ?」

「まあ…」

「なんだなんだ?随分とクールだなあ」



何故なんだろう。

ちょっとイライラする。

別に本当のことだからいいんだけど…。



「じゃあ今日は松井さんと帰りなよ。付き合ってすぐなら2人きりになりたいんじゃない?」

「なんでともちんがそんなこと言うんだよ」

「…佐江ちゃん?」



ともちんがちょっとびっくりした顔をする。

才加も呆気にとられた顔をしていたが、慌てたように


「おいおい。どうしたんだ?彼女と2人の方がいいだろうって気を使ってるだけだろ?」



気なんか使って欲しくないよ。

うまく説明できないけど、何故か仲間外れみたいな気持ちになっている。

自分でもよく分からないから何も言えない。



「じゃあさ、今度いこ?ともも松井さんと仲良くしたいから。ね?」

「うん…ごめんな?ともちん」



ともちんは大人だ。

さっきのことは気にしてないように笑顔で気を使ってくれる。

見た目で誤解されやすいけど結構気が利く娘なんだよ。

それは才加も同じだけど。





2人が離れると同時に山本がこちらにぶんぶんと手を振る。



「佐江―!」

「わかったわかった…頼むから大声はやめてくれ」



今までのやり取りを知っているわけじゃないのに少しギクシャクしながら歩く。

松井さんは俺が近づくと明らかに緊張している。



…なんで緊張するんだろう。

何となく恋人同士って言うのって違う感じを考えていたな。


才加とともちんみたいな。


もちろん最初から友達だったっていうのもあるんだろうけど。

それを考えたら、俺と松井さんはまだまだゼロからスタートだ。

山本と松井さんのとこへ行く。




「もう帰るんやろ?」

「ああ、うん…ゲーセンに行こうかと思っていたけど、予定はなくなったしね」

「受験生がゲーセンー?あ、まあ秋元くんたちは大丈夫か。せやけどあんたはないわ」

「何故だ。何故ばっさりと切り捨てるんだ!」



そんな会話をしていると松井さんが置いてけぼりになることに気付いた。



慌てて会話を振る。
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