ワンモアタイム

□第6話 『恋』
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『久美…』

「は、はいっ」






久美が直立不動なポーズをとる。

こんな場面じゃなければ笑っちゃいそうだ。





けど…近くにいる玲奈が両手を合わせて拝むような…何故か目をキラキラさせて見ている。








『ずっと好きだった…恋人になってくれる?』

「…うん…私も前から好きだったよ…よろしくね」







あああっ!は、恥ずかしいっ!



すると隣から大きな拍手が聞こえてくる。








「いいよおおお!すごく…ううっ、感動しちゃったよぉおおっ…」

『れ、玲奈?』

「玲奈ちゃーん…」








何故か玲奈が泣いてる…さっきまでは違う意味で泣いてたはずなのに。






すると玲奈は涙を拭きながら、







「あはは…ごめんね?何か…2人の姿を見ていると嬉しくて…」







黙って見ている私たちの姿に慌てたように、







「あ、ええと…確かに名前ちゃんのことは好きだったの。それは本当だけど…」







すごく優しい笑顔を見せながら玲奈は言う。









「そんな名前ちゃんの幸せな姿を、大事な友達である久美とのそんな姿を見れて幸せだなって」

『ありがとう…玲奈』

「玲奈ちゃん…玲奈ちゃん、本当に…ありがとう…」

「久美ぃ…」









2人は抱き合って泣き出した…あれ。

お2人とも?私の存在に気付いてますか?


でも…まあ、いいか。





そんな2人の姿を見ながら幸せだなって思っていた。










「うわ…見て。私達が抱きあっているのをニヤニヤして見てる人がいますよー?」

「うふふ、幸せそうだねー?名前ちゃん?」

『え?い、いや、別に?』








そんなににやけていたかな…。

思わず顔をそっと自分で撫でてみると、見透かされたように笑われた。







それじゃ帰るね、という玲奈を送って行く事にした。




すっごい恐縮されたので、久美も一緒にね。
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