ワンモアタイム

□第4話 『話』
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久美は玲奈の事に関しては何か知ってそうなのに教えてくれない。

結局、ずっとその後は不機嫌そうだったので聞けずじまい…。

教室に入ると、玲奈が真っ赤な顔でこちらに寄ってきた。







「おっ、おはよう!名前ちゃん…」

『お、おう!昨日はどうした?』

「あの、その、ごめんね…急に逃げちゃって…」

『…あのさ。何か相談があるなら聞くからね?』

「うん…相談とかじゃないんだ…でも、ありがとう」








そう言うと少しか弱い笑顔を見せた玲奈は自分の席へ。


久美はちょっとつまんなそうな顔。


その向こうでは珠理奈が玲奈に何か言っている。

…お説教?アドバイス?何か分からないや。









何だろう…何か、この世界特有の何かがあるのかな…。


全てを知っているわけじゃないし、変わっていることもあるだろう。

おかしいと思われないように慎重にしないと…





でも、急がないといけない。

昨日の夜の事が少しだけ悔やまれた。

何故、あんないいタイミングで躊躇してしまったのだろう。






一ヶ月だけと言うけど、もう数日消費してしまった。



次のチャンスを逃してはならない。

皆と楽しく過ごすためじゃない。

想い出作りのためじゃない。







久美のために…久美に思いを告げるために戻ってきたんだ…。







そうだ!昨日は言いそびれたことを今日言おう!






そして…

駄目だったとしてもぶつけて後悔のないように生きるんだ!










『あの、久美…』

「名前ちゃーん!」

『うぬぬ、珠理奈…またお前か…』

「…明らかに歓迎されてないよね」










何故このタイミングで…とため息をつきたいのを我慢。










『どうした?』

「すごい嫌そうだけど…ま、いいや!今日の放課後って暇?」

『え?私を誘ってる?久美じゃなくて?』

「えっと、まあ、その…名前ちゃんの都合を聞きたくてね?」









今度は珠理奈が?

さっきは玲奈と話していたみたいだし…何か玲奈に関する事?

改まって何か聞きたいのかな。








『放課後なら別に…』

「ちょっと待ったー!」







思わず珠理奈と一緒に声のする方を向く。
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