短編集A

□恋におちた<前編>
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だけど…






「あ…」






え?…み、宮澤先輩がこちらを見て立ち止まったような…?


い、いやまさか!

地味で目立たないことが逆に個性のような私を見るなんて…ね?







「こ、こっちに来るぅ!」

「誰!?誰なの!?誰を目指してるの!?」






えええっ?本当にこっちに?

…いや、全くもって私ではないはず!

ていうか、自意識過剰だから!







「あの…君…」







みみみみみ…宮澤先輩が口を開いた!

いや、喋るのは当たり前だけど!

周りは大興奮の声で満載です!







「だだだだ、誰ですか!?」

「お願い!名前を!名前をぉおおお!」







すると困ったような顔をした宮澤先輩は…






「えーっと…そこの…三つ編みしている…色白の…」





え?


周りが髪型と肌の色をチェックしています。



そしてその二つが一致するのは…






「れ、玲奈ちゃん!?」

「嘘…松井さん?」

「ていうか、誰?」






うっ…最後のは地味に胸に刺さります…。

ええ、体育祭の時期になったということはもう半年ほど同じクラスなんですが…。






だけど宮澤先輩はニコニコして話しかけてくる。






「えっと…松井、さん?」

『ははははは、はい!』

「だよね?ごめん!俺と一緒にゴールまで走ってくれる?」







宮澤先輩が差し出してきた手。




皆はすごい悲鳴。




躊躇していると…ぐいっと引っ張られた。
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