世界が変わる

□第四章
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陽菜 Side

佐江ちゃんが名古屋で舞台が始まると聞いて、それに合わせて仕事を入れてもらった。

普段は面倒くさがりで地方に行ったりしたがらないのにマネージャーさんたちはびっくりしてたけど。





陽菜は優子から口説きに口説かれて付き合う事になった。

もちろん面倒くさいし、セクハラされまくりでうざいって思う事もあったけど尊敬できるところも多い。

なので、かなり流されはしたけど、嫌いじゃないし好きになれそうだと思ったのがOKの理由。





だけど実際に付き合ってみると、想像とはかなり違った。

優子からはチューされたり、体に触ったりはあるけどそれくらい。

実際に最後まで、ってなると意外と奥手な優子はなかなか手を出してくれない。

陽菜から誘えばいいんだろうけど…うまく言えないけどこっちから言うのが悔しくて。




そんな時、佐江ちゃんが色々と気にかけてくれていた。

恐らく、陽菜個人じゃなくて心友の優子の恋人だからだと思う。




だって佐江ちゃんはゆきりんと付き合いかけているみたいだったし。




佐江ちゃんの優しさが嬉しかった反面、陽菜を好きじゃないんだ…という気持ちが何故かあった。

なんで?だって陽菜は優子が好きなはずなのに。

自分でもよくわかんない。






麻里ちゃんに相談してみたら、


「にゃろはお姫様気質だから皆に愛されたいんじゃない?」



といわれた。…そうなのかな?

でも陽菜の事をよく分かっている麻里ちゃんが言うならそうなのかもね。





ある日、陽菜は佐江ちゃんを誘った。

相談があるんだけど、ご飯でも、って。

だけど珍しくその日の前の夜には部屋を片付けておいた。

佐江ちゃんは優子に遠慮していて、おまけにたかみなやみいちゃんの名前を出したりして。

むー、全然気持ちを分かってくれないんだから。




佐江ちゃんにはわざとらしくゆきりんの名前を出して色々突っ込んでみた。

ゆきりんの話をすると、照れくさそうに嬉しそうに話す佐江ちゃんを見ると表現できない気持ちになる。




自分でも分からない。優子の事は好きだけど、佐江ちゃんへの思いがある場所は心のどこなんだろう?





佐江ちゃんには「抱いて」っていうとやっぱり拒否された。

チャラチャラしているようで、相手が本気と分かると上手い具合にスルーする人なんだもん。




だけど、相手が辛そうにしているとほっとけない優しい人なのも知ってるよ?



だから陽菜は自分を可哀想な子に見せたの。


ね?こんなに辛いの。
佐江ちゃんがいてくれないと駄目なの、って。

ずるいかなあ?
プライドとかないのかって?



そんなこと考えていたら欲しい物を逃しちゃうし。





現に…







佐江ちゃんはゆきりんを手に入れられなくなったんじゃない?
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