セツナレンサ

□第4章
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何度も何度も確認する。



ベッドはシーツ良し。布団良し。枕良し。カバーも良し。
そこはかとなく品があって華美にならずシンプルかつ清潔感。
うーん、何度見ても大丈夫かなと不安になる。



毎日掃除してるからきれいだと思うけど念のためにコロコロする。

トイレやお風呂も念入りに掃除を繰り返す。
それから一番肝心な事。


明らかに佐江の物ではないアクセサリなんかがないかをチェック。
何度も来た事ある子は置いてったりするんだよね…。
いかにも女の子って感じのピアスとかサイズが違う指輪とか。
そういうのが見つかったら何も言い訳は出来ない。





今日は夜のバイトがあるから帰ってから掃除は出来ないからとりあえず昼までに済ませておこう。





『他に何か…あっ』





そうだ。飲み物とか食べるものとか。
あまりゆきりんは大食ではなさそうだけどないよりある方がいいよね。
勝手なイメージだけどスムージーとか飲んでそう。
なのでフルーツはちょっと用意しようと思う。
それは優子か才加の店でちょっと頂くとして…まだお願いしてないけど。



ゆきりん用のパジャマとかタオルとか用意して、と。
持ってくるかもしれないけど一応。




思えば一晩を過ごすのは初めてだからどういう風になるのかが思い浮かばない。

そわそわしてる自分が何だか面白い。
他の女の子が急に来ても全く気にならないし、勝手にどうぞって思ってる。

それがゆきりんが来るとなったらこんなに落ち着きがない。
隠し撮りとかされていたら佐江は恥ずかしくて死んじゃうよ…。





『ふう…こんな感じでいいかな』





あれからちょっと久しぶりだから会えるのが楽しみで仕方ない。


今日はゆきりんと帰るから徒歩で行く。
多分2人で飲む事になるから自転車でも飲酒運転になる。
それにゆきりんがいるから自転車はね。
2人乗りなんて青春だけど絶対に飲んだ後は蛇行運転間違いなし…。


早めに優子の店に行ってオープンの準備をして、それから才加の店だ。

別に優子の店でもいいんだけど…
佐江の個人的な事情で才加の店にする。
余計な邪魔が入ると困るからね。



『自分がどれほど適当で乱れた生活を送っていたかがよく分かる』



と、口に出してちょっとだけ反省。

























『お疲れさまー』
「おーっ、佐江ちゃん、お疲れ!今日は早上がりだったよね?」
『うん、週末なのにごめん』
「いいよ、今日は団体さんとか予約ないからね。あたしや女の子たちでも対応出来ると思う」
『そう言ってもらえると助かるよ…外の窓とか拭いてくるね』
「うん、よろしく!」



バケツに水を入れて洗剤と雑巾を持って手袋を着ける。


窓拭きをしつつゴミ拾いなんかもやっちゃおう。
繁華街って店がしまった後に酔っ払いがたむろってゴミとか捨てたりするからな。
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