セツナレンサ

□第2章
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今日は天気がいい。

こんな日は外で食べるお昼ご飯が最高だ。



「今日はここでお昼ですか?」
『うん。邪魔?』
「いえ、お客さんは誰もおらへんし」


お客さんと言うか設置してあるテーブルは1つで椅子は4つ。


「大体はここで買って持って帰る人ばかりですけどね」
『ふーん…じゃあ昼休み一杯ここでいい?』
「もちろんです。たこ焼きだけで足りますか?」
『あー…じゃあ後でソフトクリーム頼むかも』
「ふふっ、ありがとうございます」



関西弁の女の子が働くたこ焼き屋さんの前は佐江1人。
いつもなら学校の部屋で食べたりするし1人の時はない。



「いつも一緒のあの人はお休みですか?」
『うん、家の用事で今日は休むって言ってたからね』
「そうなんですね…あの人、色白で綺麗な人ですよね」
『そうだなあ…確かに綺麗だ』
「なんですか。今気付いたみたいな言い方をして」



ちょっと呆れたみたいに笑うたこ焼き屋さんも結構可愛い。



『ううん。だってたこ焼き屋さんだって可愛いなと思ってる』
「え…そ、そうですか?あはは…あ、ありがとう…ございます」
『敬語やめていいよ。年変わらないんだし』


年齢はこの前聞いたばかりだ。



「なんか性格的にちょっと厳しいかも…でもなるべくそうするわ」


するとさっきまでジュージュー何かを揚げていたたこ焼き屋さんがやってきた。



「ほな休憩しよっと。一緒に食べよ?」
『えっ、頼んでないけどいいの?』
「いつも買いに来てくれるからサービス。と、私も食べるから気にせんでええから」


自分のドリンクと、唐揚げやポテトを入れたバスケットも持ってきてくれる。


「揚げたてめっちゃ美味しいで?」
『おお…それじゃいただきます!』


うん、美味しい!
何でも出来たてはやっぱり美味しい!



『あふあふ…』
「ふふっ、あまり慌てたら火傷するで?お客さん」
『はふっ…はへ…』
「はへ?」
『…佐江。名前は宮澤佐江って言うんだ』
「宮澤さん…」
『たこ焼き屋さんは?』
「それ、どっかで会ったら困る呼び名ですね…山本です」
『山本…下の名前は?』
「さやか、です。彩って文字です」
『へー、佐江にも同じ名前の友達がいるけど字は違うなあ』
「あや、って間違えられることが多いですけどね」



たまには1人もいいもんだな。

こうして新たな出会いがある。
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