夏空

□第15章
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ここは…


見覚えがある場所だ。
そしてやたらうるさい。

だけど人がたくさん盛り上がっていて、俺の知っている奴らも騒いでいて…



あれ?

ステージにいるのは…彩!?
っていうか、髪の毛伸びてる!

高校生の時くらい長くなってるけど…



「さや姉、かっこいいよね!」
「え?…ええっ!?」
「どうしたの?佐江ちゃん?」
「どどど、どうしたのって…!」


玲奈!?

しかも…普通に立ってるし!

しかも入院中に切られたはずの髪の毛は高校の時くらいに…
いやいや、まだそこまでは回復してないだろう…ってそこじゃなくて!



「お前、大丈夫なのか!?」
「な、何が?…もう、ほら、さや姉がギター弾いてるんだから見ないとダメだよ?」
「何が…」



すると今度は隣で誰かが踊りだす。



「だ、誰だ…って珠理奈ちゃん?!」
「あっ、お兄ちゃん!お兄ちゃんも踊ろうよ!」
「な、なんで…」
「え?」
「なんで珠理奈ちゃんはでかいんだよっ!」
「な、何!?女の子のことをでかいとか言うの失礼だよっ!」



なんなんだよ、なんなんだ!?
何かおかしい…。

いや、そもそも俺は何を?
そうだ、ここは…

あのライブハウス。



彩がバンドをやってて、珠理奈ちゃんがダンスをしてて…

終わってから皆で写真を撮った。

写真?

…何か…何かひっかかる。





あれ?皆がいない。
なんでだ?




急に静かになった。





玲奈?彩?珠理奈ちゃんも誰もいない。






「彩…」
「…佐江?」
「俺…なんかおかしいんだ…皆いなくなった…」
「まだ寝とき…体調悪いんやから」
「…体、動かない」
「点滴されてるから…何も考えないで寝ててな」
「うん…」



そっと額に彩の手が触れた気がした。

どれが夢なのか、現実なのか。
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