こいのうた

□第七章
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今日は外出している。




目の前には…




「ふふー、嬉しいなぁー、久々佐江ちゃんとデートー」

『デートかなあ?』

「そうだよー。だって2人きりでお出かけだもん」

『そうなのか…』

「おまけにこうしてカフェでイチャイチャ」

『してません』



そう、今日はにゃんにゃんとデート…らしい。

この前久しぶりに会って話しかけられたし、時間がある時に誘ってって言われてたから。




「だけどびっくりしたー、佐江ちゃんから誘ってくれるなんて」

『うん…ほら、にゃんにゃんとは最近会えてなかったからさ』

「そうだよー!出番少なすぎー!ねえ、来年は同じクラスがいいんだけどー!」

『…誰に言ってるんだ、誰に』




にゃんにゃんは幼馴染。

小さい頃から一緒だからこれが気心が知れるって意味なのかな?

男女関係なく遊んでいた頃から一緒。

だけど実は男子にモテモテだったのを知ってる。

優子だけじゃないからね、好きだって言ってたのは。



にゃんにゃんは面白くて、綺麗で。

中学校に上がったらもっと人気が出てるのも聞いてる。

上級生だってにゃんにゃんを見に来てる連中がいるとか。

何人からも告白されてるけど断っているのも噂になっている。



「佐江ちゃんさー、またイケメンになったよね?」

『え?そうかな…いや、わかんないって自分じゃ』

「そうなの?陽菜、自分で鏡見ててまた綺麗になったかもーって思うよ?」

『何だかにゃんにゃんらしい…』



思わず笑ってしまう。

本気か冗談か分からないけど、それもにゃんにゃんの面白いところだ。



『だけど、本当。背も伸びたし大人っぽくなったからかな?もっと綺麗になったよね』

「え…あ、ありがと…」

『お、おう?どういたしまして』




素直に褒めると急に恥ずかしがるのも可愛いと思う。

俺、あっちゃんしか見てなかったから気付かなかったのかな。




「佐江ちゃんに褒められるのが一番嬉しいな…佐江ちゃんも背が伸びたし、もっとかっこいいよ?」

『ええと、あの…面と向かって言われると恥ずかしいな、やっぱり』



思わず顔を隠すとにゃんにゃんは嬉しそうに笑う。



「…もっと綺麗にならないと佐江ちゃんは陽菜を好きになってくれないのかなー」

『え?』

「ううんっ。ねえねえ、どこ行く?」

『うん…俺が今日考えてるのは…』




持ってきたパンフレットを見せる。

どこにしよう、こっちがいいかな?なんて話をする。





さっきのにゃんにゃんの言葉は聞こえてた。

ごめん、にゃんにゃん。

綺麗かどうかとかじゃないと思うんだ。

人を好きになるのって本当に説明がつかないね。
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