こいのうた

□第五章
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「わっ…ありがとう!お兄ちゃん!」

『こんなんで良かった?他には何もなくてさ』

「ううん!嬉しい…うふふっ」



玲奈がすごく嬉しそうにしている。

木製のペンダントにするのか、オブジェにするのか。

分からないけど、きっと持ち歩くのはちょっと…だから、多分部屋に置いてくれるならいいな。




「玲奈はずっと寂しがってたもんね?よかったわね」

「もう、お母さん…」



玲奈はちょっと恥ずかしそうだけど、お土産を見ると笑顔になる。



「電話だって玲奈だけ話してたしねー?」

「あ、あれは短い時間だったから…!」

『いや、本当にごめん。俺も消灯が近かったから電話を代わる余裕がなかったし…』

「お兄ちゃんは悪くないから…うう…」




俺が謝ると玲奈はすごく申し訳なさそう。

その頭をぽんぽんと撫でる。




『喜んでくれて良かったよ。これは俺が提案したからさ』

「あら、そうだったの!?すごいじゃない!」



何故かお母さんの方が興奮気味だ。

玲奈は「ええ…す、すごい」と呟いてマジマジとお土産の丸太を見てる。

本当に良かった。














夕飯を済ませて寝る前にシャワーを浴びながら考える。

たかみな…もしかしてあっちゃんが好きなのかな?

キャンプの初日には「好きだった人はいたけど今はどこにいるか分からない」って言っていた。



だから安心してたけど…。

キャンプで一緒の時間を過ごすうちにあっちゃんを好きになった、ってことになってもおかしくないよな…?



1人で考えていても仕方ない。

でもどうしてももやもやしてしまって考えてしまうんだ。



『これが恋なのかなあ…』



だとしたら恋なんてとっても面倒くさい。

勉強は嫌いだけど頑張れば答えが出る。

でも人の気持ちなんて分からない。

答えが出ないのに考えないといけないんだから。








風呂上りに部屋に戻って携帯をみる。

中学に上がったと同時に持たせてもらった人が多いから結構皆で連絡先を交換した。

もちろん、あっちゃんとも。

他の友達からは色んなメッセージが来たけど…。




どうしようかな。

あっちゃんから何か来るって決まってる訳じゃないけど…。

自分から連絡するのはちょっと怖い。



だけど…ええい!心配しているんだからいいよな!?

自分を説得させつつ、メッセージを送る。




『怪我は大丈夫?明日は来れそう?』



それだけの内容。

返信が来るまでの時間が長く感じられる。

暫くすると連絡が来た。




“うん。大丈夫だよー。佐江たちにも心配かけちゃってごめんね。暫くは松葉杖みたい。

学校の行き帰りはお母さんに車を出してもらうよ。”



それだけで安心した。
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