こいのうた

□第四章
1ページ/22ページ




「こっちだったっけ?」

「いや、こっちだろ」

『俺はこっちだったと思う』

「んー、あの目印覚えがあるような気がするねんけど…」



ただいま森の中。

グループごとのレクリエーション中。

パンフレットを片手にああでもないこうでもないと謎解き中。




グループで色んな場所にあるヒントを元に早いゴールを目指すと言うもの。

中にはもめたりするグループもあるみたいだけど、俺たちはのんびり楽しんでる。

ゴールした順に色々と景品(とは言えないようなものばかりだけど)が用意されるのもお楽しみ。








夕飯はキャンプの定番というか…。





「やっぱりカレーだよなあー!」

「ここは思い切って豪華バーベキューとかも期待したかったかも…」

「前田さんはほんまに食べるの好きやね…そんな細いのに」

「よし、まずは野菜を洗ったり飯ごうの準備をしよう」

「秋元くん、私が野菜洗うね」

「柏木さん?料理したくないから洗うだけの仕事を…ていうんやないやろな?」

「なっ、何?渡辺さんの言うことわからないよ?」

「そろそろみるきーって呼ぼうやぁー」

「おっしゃー、肉を切るッスよお!」





何のかんので仲がいいし役割分担もOK…と思う。

飯ごうや野菜などを洗ってきて、俺はご飯のセッティング。




「佐江ちゃん、はい、お水」

『おっ、ゆきりんありがと!』

「佐江ちゃーん?着火剤やで」

『みるきーもさんきゅ!』

「みるきー?ここは私が佐江ちゃんをサポートするから大丈夫だよ?」

「柏木さんは野菜を洗うんやろ?うちが佐江ちゃんの火起こし手伝うからあっちに行きいや」

「火くらい佐江ちゃんが1人で起こせるでしょ!?」

「それ言うんなら炊飯なんて水を持ってきたらおしまいやんか!」

『ふ、2人とも…お願いだから仲良くしようね…?』




何のかんので仲いい…よね?





才加と優子は手際良く野菜を切ってるし、たかみなは肉を切ってる。




あっちゃんは…




『寝てる』

「今日は歩きすぎて疲れたんやろな…」

「前田さんってこうしてても誰も責められないのは得だよね…」



そう、あっちゃんは暇さえあれば寝てる。

それか食べてる。

たまに起きてくしゃって笑って喋ってる。



でもさすがに目が覚めると「何か出来ることあるー?」って尋ねてくれる。

飯ごうはセットしたから暫く炊けるのを待つだけだし、今は大きな鍋に油を入れて野菜や肉を炒めてる。





「じゃああっちゃんは焦げ付かないように混ぜてよ」

「わかったー。ふふっ、楽しみー。美味しいカレーが出来るといいなあ」




優子から大きなしゃもじを受け取って野菜や肉を炒めてるあっちゃん。

…何だか美味しくなるおまじないをかけてもらってるみたいだ…。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ